ルノー・日産の資本提携から20年以上が経過するが、両者の資本関係は平等ではない。ルノーが日産に43.7%、日産がルノーに15%を相互に出資するが、フランス商法から日産が持つルノー株には議決権がない。つまり、ルノーは日産の事実上の“親会社”であり、かつ16年に日産が34%出資して傘下に収めた三菱自動車はルノーにとって“孫会社”という関係になるわけだ。しかし、今や日産は規模でルノーを上回り体力もある。その日産をルノーが支配するという、いびつな構図になっているのだ。

 一方でルノーはというと、旧ルノー公団とフランスの国策自動車メーカーだった時代を経て現在は民間企業化しても、筆頭株主は依然仏政府だ。また、仏でのルノーのライバルであるプジョーは、フィアット・クライスラーとの統合でステランティスとなり、大きなステップを踏んでルノーを追い落とす勢いにある。

 ルノーから送り込んだゴーン元会長が、長期政権下で日産・ルノー・三菱自の3社を主導して統治していたからこそ円滑に運用されてきたRAMAだが、その在り方もポストゴーンで変わるべきではなかろうか。

EV新会社が巻き起こす
資本関係の見直し議論

 ルノーとしては世界で急速に進む電気自動車(EV)シフトにあって、欧州での展開を念頭にEV事業新会社を立ち上げる。このEV新会社に日産と三菱自の出資による参画を求めている。だが、日産と三菱自がこの新会社に参加する際立ったメリットがあるとは言い難い。