量子レース#7Photo by Hiroyuki Oya

日本で初開催された量子コンピューターの国際会議「Q2B Tokyo」では、各社が模索する活用事例が発表された。金融、化学といった量子コンピューターに積極的な業界の大手企業の発表に加えて、今回は自動車業界のデンソーとアイシンというトヨタグループの発表が目を引いた。特集『号砲! 量子レース』(全8回)の#7では、Q2B Tokyoで明かされたデンソーとアイシンの量子コンピューター活用法をお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

Q2Bで明かされたトヨタグループの一手
デンソー、アイシンの量子コンピューター活用法

 次世代電池などの素材開発や金融デリバティブ商品の価格計算、物流やスケジュールの最適化――。

 7月13~14日に開催された量子コンピューターの国際会議「Q2B Tokyo」では、国内外の大手企業が量子コンピューターの産業応用を目指した取り組みを発表した。

 例えば米ゴールドマン・サックスのニキタス・スタマトプロス・バイスプレジデントは、「既存の業務を量子コンピューターに置き換えて大きなアドバンテージを得るためには、どれだけのマシンの性能が必要なのかを逆算して考えている」と、現状で優先していることを説明した。

 ある国内大手企業の量子コンピューターの担当者は、「アカデミックの研究者があまり手掛けないテーマなので、企業が自ら取り組む必要がある」と語る。

 金融や化学といった、量子コンピューターの活用に積極的なことで知られる業界の大手企業が取り組みを発表する中、今回のQ2B Tokyoで特徴的だったのはドイツのBMWグループやデンソー、アイシンといった自動車業界の最新の取り組みが披露された点だ。

 トヨタ自動車を支える自動車部品大手のデンソーとアイシンは、量子コンピューターをどう活用しようとしているのか。次ページでは、Q2B Tokyoで明かされたデンソーとアイシンの取り組みをお届けする。