量子コンピューターを開発する“実力”を示す有力な指標の一つが特許数だ。過去15年間の量子コンピューター関連技術の特許を調べると、2014年以降に特許出願が急増している。特許出願数を基にランキングを作成すると、米国勢が世界トップ20の過半を占め、日本勢もそれに続く。しかし、中身を見ていくと日本の“危うい”実態が浮かび上がる。特集『号砲! 量子レース』(全8回)の最終回では、量子コンピューターの特許数ランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
2014年以降、米国・中国で特許が急増
日本は17年をピークに減少に転じた
「量子コンピューター関連技術の特許数は2014年以降、米国で急速に増えてきており、中国が追随している」
こう語るのは大阪大学量子情報・量子生命研究センターの町田尚子特任准教授だ。
実際に特許がどこの国に最初に出願されたかの推移を示すのが下図だ。
14年以降、米国で特許の出願が急増している。同年に米カリフォルニア大学サンタバーバラ校のジョン・マルティネス教授が5量子ビットの超伝導量子コンピューターの開発に成功。米グーグルがマルティネス教授の研究室ごと取り込んだことで話題を集めた時期と重なる。ここから世界中で量子コンピューターの開発レースが加速したとみていいだろう。
14年までは日本は米国に次ぐナンバー2だった。ところがそれ以降は海外勢に抜かれ、17年をピークに特許数が下降へと転じてしまっている。
それでは、実際に特許を出願している強いプレーヤーは誰なのか。ダイヤモンド編集部は量子コンピューターの特許数をランキングにまとめた。
次ページでは、量子コンピューター関連技術の特許出願数ランキングの世界トップ20をお届けする。米国勢が過半を占め、日本でも大手メーカーなど計六つの企業・組織がランク入りした。