岸田首相岸田外交の最大課題は米国と中国との距離をどう取るかだが、対中政策は抑止一辺倒でない戦略が重要。鍵は米中ともにアキレス腱になっている経済問題だ Photo:Anadolu Agency/gettyimages

「抑止一辺倒」でいいのか
米中ともに経済で課題抱える

 参議院選挙で自民党が圧勝し、岸田文雄政権が新しい信託を受けて取り組まなければならない最大の対外課題は、米国と中国との距離をどう取るか、だ。

 日米は価値を共有する同盟国であり、日米安全保障体制なくして日本は東アジアの脅威に立ち向かうことはできない。中国の急速な台頭で米中関係の対立が厳しさを増している中では日本は米国と緊密な連携を取り、中国に向き合っていくことは既定方針だ。

 国民の間でも嫌中、反中感情が高まっている中で起きたロシアのウクライナ侵攻は国民の安全保障に対する意識をいやが上でも高めることになった。このままでは米国との連携による「対中牽制」一辺倒に流れていく可能性も強い。

 だがそれは日本の国益にとっていいことなのか。

 米中ともに国内事情を抱えそれぞれインフレ克服と経済再建が重要課題になっている中で、抑止一辺倒ではないやり方がある。