
参院選は最終盤まで一度も盛り上がることはなし。おそらく過去を振り返ってもこれほど低調な参院選は記憶がない。投開票の7月10日が迫る中で報じられた有力新聞の情勢記事も「与党(自公)過半数の勢い」でほぼ一致。選挙戦中盤になって①猛暑による電力不足、②円安による物価高、③新型コロナウイルスの新規感染者再拡大の兆候――など自民党に不利な状況も生まれたが、首相の岸田文雄の内閣支持率が急落することもなかった。
このため選挙後も直ちに与党内を大きく揺るがすような波乱要因は見えてこない。当初は8月初旬にも断行が想定された内閣改造と自民党役員人事も「ゆっくりやる」(岸田側近)の流れになった。具体的には9月になってからだ。
早期改造の前提となっていた引退議員の農水相、金子原二郎と国家公安委員長の二之湯智の2閣僚についても、民間人閣僚として当面続投する方向になった。
ただし、広くいわれている参院選後に訪れる「黄金の3年」があるとは思えない。衆参共に任期満了が2025年でそろうためにこういわれているが、権力闘争が日常茶飯事の永田町に「静かな3年」が続くはずはない。何よりも衆参の任期満了の前、24年9月に自民党総裁選が巡ってくる。