東京都の小池百合子知事が「育休(育児休暇)」に代わる新ネーミング「育業」を発表したのは、6月末のこと。「育業」が選ばれた理由については「“業”という言葉には、仕事という意味のほかに努力して成し遂げる意味もある」として、育児は夫婦だけではなく社会全体のチームワークが必要だと強調した。しかし、日本はまだまだ夫婦一丸となって育児を、と呼べる環境には至っていない。『男が心配』(PHP新書)の著者で、20年余り男性の生きづらさをテーマに取材、調査を続けて男性の苦悩に寄り添ってきた近畿大学教授でジャーナリストの奥田祥子氏に聞いた。(清談社 吉岡 暁)
短期間の育休しか取れない
「名ばかりイクメン」の実態
近年になって育休=母親が取るもの、という意識は変化してきている。厚生労働省の発表によると、2020年度の男性育休取得率は12.65%で初めて1割を超え、過去最高を記録。さらに法改正で10月から新育休制度が開始し、育休とは別に「産後パパ育休」が新設されるなど、育休に対する日本社会の反応は前向きのように思える。しかし、「女性も男性も積極的に育休を!」という建前と現実は、依然として乖離(かいり)したままのようだ。