悲しみに打ちひしがれ、泣き疲れた後、激しい頭痛に見舞われる人がいる。心労で体調を崩したと思われがちだが、これは「泣き頭痛」と呼ばれる慢性頭痛の症状だ。置かれた状況も相まって対処法を誤ることも少なくないが、適切な処置を講じなければ、かえって症状を悪化させることにもつながるという。「泣き頭痛」の危険性とは何か。頭痛専門医の清水俊彦医師に話を聞いた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)
その名は「泣き頭痛」
片頭痛持ちがなりやすい
死は誰にでも必ず訪れるものとはいえ、時代を共に生きて来た人の死は悲しく、つらい。まして、近親者の死ともなれば、そのつらさはどうにも耐え難いものになる。
泣いて、泣いて、泣きつかれた挙げ句、激しい頭痛に見舞われる人が多いことをご存じだろうか。場合によっては、数日間寝込んでしまうケースもあるという。
「大概の場合、悲しみのショックのため寝込んでしまった、もしくは葬儀など、一連の儀式の疲れが出てしまったためと思われていることが多いようですが、そうではありません。悲嘆そのものによって誘発された立派な慢性頭痛であり、悲嘆そのものが原因で起きている頭痛です。このような頭痛は『泣き頭痛(crying headache)』と呼ばれ、主として慢性頭痛でも片頭痛の要素を持ち合わせた患者さんに見られることが多いです」