中国東部の浙江省杭州市にある未完成の高級住宅地中国東部の浙江省杭州市にある未完成の高級住宅地(2022年7月撮影) Photo:JIJI

中国各地で、建設途中のマンションで工事が止まったまま放置されるという事態が起きている。全国に300以上あるという未完成マンションの中でも多いのが、経営危機に陥った恒大グループが関わっている開発案件だという。できる見込みがないマンションでもローンは払わねばならず、補償もされないため、中には「不払い宣言」をする人も……中国の不動産界隈で何が起こっているのか。(フリーランスライター ふるまいよしこ)

中国で300以上のマンションが、未完成のまま放置されている

 中国で「爛尾楼」(らんびろう)騒ぎが拡大中だ。

「爛尾」とは「尾っぽ部分がずさん」という意味で、「爛尾楼」は「尻切れトンボ状態になった不動産」を指す。つまり、建設途中に開発業者の資金がショートしてしまい、未完成のまま放置されているマンションのことだ。そんな爛尾楼が、中国各地ですでに300以上あることが分かっている。

 近年、中国政府も過熱が続く不動産ブームを抑制すべく、2軒目、3軒目購入には頭金を引き上げたり、銀行ローンに規制をかけたりしてきた。だが、それでもやすやすとそのハードルを超えたり、さらには住宅購入のためにわざわざ離婚手続きまでとって(元)家族が別々に不動産を購入したりするなど、文字通りの「上には政策、下には対策」が展開されてきた。

※「上有政策、下有対策」。中国のことわざで、政府がいかに政策を施行しても、庶民は何らかの対策を編み出して政策を骨抜きにする、という意味。

 しかし同じタイミングでコロナ対策による都市封鎖や行動規制が繰り返されて、消費意欲が激減してしまった。慌てた政府は今年に入って積極的に不動産開発用地の競売を進めているが、当の不動産開発業者がここにきて青息吐息になっていることが報告されている。