実家の「相続税評価額」を
計算してみよう

 相続発生はまだ先のことだとしても、親所有の不動産が相続財産としていくらの価値があるか、前もって把握しておいたほうが良い。それによって、将来、相続税が課税されるか、非課税になるか、予測できるからだ。国税である相続税は、原則金銭で納める。納税資金の準備もあらかじめ対策できる。

 不動産の相続財産評価額の確認方法は以下の通り。

●ステップ1:土地の評価額を概算してみる
 国税庁『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表』の路線価図、または(財)資産評価システム研究センター『全国地価マップ』で、実家や親所有の不動産が「路線価地域」にあるかどうか確かめる。

 あれば、路線価(1000円)×宅地面積(平方メートル)=土地評価額で大まかな目安を計算してみる。なければ、「倍率方式」固定資産税評価額×倍率=土地評価額で計算。固定資産税評価額は、毎年4~5月に土地所有者へ送付される「固定資産税の課税明細書」で確認できる。倍率は、国税庁『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表』で都道府県を押下→評価倍率表の一般の土地等用を押下→市区町村名を押下すると、倍率表が表示される。

●ステップ2:家屋の評価額を確認する
 家屋の相続財産評価額は固定資産税評価額をそのまま用いるので、「固定資産税の課税明細書」で確認できる。

 実家や親所有の不動産の大まかな相続財産評価額がわかったところで、相続税が課税されるかどうかだ。相続税の基礎控除額は3000万円+600万円×法定相続人の数なので、不動産評価額からこれを差し引いてもマイナスにならなければ、相続税課税の可能性ありということだ。

 0もしくはマイナスだとしても、相続税は預貯金や有価証券などを含めた相続財産総額が対象なので、親の全財産を洗い出して計算する必要がある。この機会に相続税対策するなら、親と協力して財産の棚卸しをしたい。後でもめ事にならないよう、ほかの兄弟姉妹にも協力を求めたほうがいい。

 なお、実際に相続発生の際には、相続が開始した年の路線価や倍率を基に計算する。評価額の概算は、あくまで現時点での相続税対策の目安であることを承知しておこう。また、実際に相続税申告を行う際は、相続のケースに応じて適用できる控除や特例もあるので、これについては後述する。