世の中のさまざまなしがらみから抜け出して「幸せな人生」を歩むために必要なものはなんだろう?
それは、「自信」だ。『幸せな自信の育て方 フランスの高校生が熱狂する「自分を好きになる」授業』(シャルル・ぺパン著、児島修訳)では、フランスの高校生から大絶賛される哲学教師が、「本当の自信の育て方」を教えてくれる。本書からその一部を特別に紹介しよう。

【フランスの高校生が学ぶ】自信を持つためのシンプルな方法Photo: Adobe Stock

「小さな決断」の積み重ねが自信をつくる

 決断することは、不確実性の中心に、人生そのものの中心に立つことだ。

 意識的に決断するたびに、私たちは少しずつ自分を信頼する方法を学んでいく。そのため、日常生活の中で出会う小さな問題は、良い訓練の機会になる。大きな決断をするための、予行練習のようなものとみなせるのだ。

 不確実性を否定せずに受け入れながら、迅速に決断を下すための訓練をしていこう。

 朝、身支度をしながら鏡の前に立つとき、「パンツとドレスのどっちがいいかな。この小さなトップスとこのシャツのどちらにしよう? このジーンズは合っているかな?」などと疑問が湧いてくることがある。だが、着るものを選ぶのに、時間をかけすぎてはいないだろうか?

 職場に着くと、机には「やることリスト」をメモした付箋がたくさん貼られている。何から手をつければいいのだろうか?

「小さなことを素早く決断する方法」を学ぶことは、とてもシンプルだが、大きな自信を得るための良い訓練になる。

 私たちは、小さな決断をするたびに、「自分の自由を信頼する」ことを少しずつ学んでいける。些細なことをうまく決断できなければ、大きなことも決断できない。

 決めることがうまくなればなるほど、自分に自信が持てるようになり、その自信がさらに好循環を招き、決断力を高めていく。逆に、うまく決断ができなければ、自信を持ちにくくなる。

「誰かに決めてもらう」のは避けよう

 重要な問題を放置していると、いつのまにか大切な問題を誰かに勝手に決められてしまうようになる。

 フランスの政治家アンリ・クイユは、「どんな問題も、たとえ解決策がなくても、最終的には自然に解決する」と冗談を言った。結局は、なるようになる、決断しないこと自体が一種の決断になる、というわけだ。

 ただし、誰かの手に決断を委ねるのは、最低の部類の決断だと言える。そのような受け身の姿勢からは、まず良い結果は望めないからだ。

学校では「決断の価値」を教える

 決断する能力は、学校でもっと教えられるべきものだ。その機会がまったくないわけではない。

 たとえば高校では、生徒はいくつもの小論文のテーマの中から「選択」しなければならない。この目的は、迅速な決断力を身につけるためだと考えることもできる。

 教師は生徒に、「君たちは良いテーマを選んだ。でも、それはそのテーマが他と比べて良かったからではない。君が自分の意思で選んだからこそ、それは良いテーマだと言えるのだ」と、決断することの価値を教えられるだろう。

 なかには、さまざまなテーマの良い面と悪い面を比べているばかりで、なかなか決断に至れない、優柔不断な生徒もいるだろう。まるで、あるテーマを選ぶ確実な理由が、突然どこからか現れるのを待っているかのように、「選択」に時間をかけすぎているのだ。

 教師はここでも、そうした生徒が決断するのをサポートできるだろう。

 不確実なことに立ち向かう勇気子どもたちには、選択と決断の違いを早いうちから教えておこう。決断するのに、疑念がすべてなくなるのを待つ必要はないのだよ、と。

 疑いはゼロにはならない。そして、疑いが残っている状態で決断することにこそ、自由がある。

2つのことで迷う子どもに、どう声をかける?

 ガンジーやシャルル・ド・ゴール、マーティン・ルーサー・キングなどの、人類の叡智を前進させてきた偉人たちが、不確実性に立ち向かう勇気を持っていたことを子どもたちに伝えよう。

「人間には、どんな不確実な状況下でも、自分の力で物事を決断できる権利がある」ことを教えるのだ。

 このことは、とても単純な状況を用いて子どもたちに理解させられる。子どもが、2つのプレゼントのうちどちらを選ぶか、2つのイベントのうちどちらに参加するか、2人の友人のうちどちらを家に招待するかどうか、といったことで迷っているとする。そんなときは、こんなふうに直接的に決断の価値を伝えられる。

「思い切って決断してごらん。明日まで待ったところで、判断材料が増えるわけじゃない。10分後でも同じだ。自分が決断しなければ、誰かにそれを決められてしまうことになるよ。それでもいいの? たとえ失敗しても、そこから学べることがある。自信を持って決断することが大切だ。それが、人生に自信を持つことにつながるんだ」

[本記事は『幸せな自信の育て方』(シャルル・ぺパン著、児島修訳)を抜粋、編集して掲載しています]