「人前で話すのが苦手」「プレゼンで緊張してしまう」「雑談も苦手」
そんなアナタが参考にしたいのが、TBSの井上貴博アナウンサーの著書『伝わるチカラ』(ダイヤモンド社)だ。アナウンサー歴15年で試行錯誤しながら実践してきた52のことを初公開。「地味で華がない」ことを自認する井上アナが、情報・報道番組の最前線で培ってきた「伝わらない」が「伝わる」に変わるテクニックが満載。人前で話すコツ、会話が盛り上がるテクなど、仕事のプレゼンからプライベートの雑談まで即役立つノウハウ、さらに失敗や葛藤についても赤裸々に語る。
※本稿は、『伝わるチカラ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
言葉だけでなく
表情やりリアクションも重要
人が情報を伝える手段は、言葉だけではありません。表情や身振り手振りといったリアクションも非常に重要なポイントです。
表情やリアクションは、私にとって生命線とも言えます。というのも、私が携わっている報道番組は、バラエティ番組とは異なり、喜怒哀楽を表しにくいという特徴があるからです。
しかもニュースは論理的に整った言葉で伝えていくのが原則であり、急にテンションを上げたり下げたりすると、悪目立ちしてしまいます。淡々と話し続けることができる分、視聴者の印象に残りにくかったり、退屈そうに見えてしまったりする恐れもあるのです。
リアクションは中途半端でなく
大きな動作がいい
そこで有効なのが、表情やリアクションです。リアクションを大きくとることで、喜怒哀楽の感情を伝えられるようになります。
例えば、机に突っ伏すことで、落ち込んだ感情をコミカルに表現したり、ガッツポーズで喜びを表現したりできます。こういうリアクションは中途半端にやるのではなく、思い切って大きな動作でやったほうが効果的です。
表情もなるべく豊かにしたいものです。表情は相手(テレビ番組では視聴者)に伝染します。ずっと仏頂面をしていたら、相手もいつの間にかテンションが下がります。表情はなんと言っても笑顔が一番です。笑顔を見ているだけで、私たちの気分は高揚します。
“つくり笑顔”には
懐疑的だったけれど…
実をいうと、以前の私はアナウンサーの笑顔に否定的でした。どうして面白くもないのに、笑顔にしていないといけないんだろう。つくり笑顔は気持ち悪い。
特に朝の番組などでは、アナウンサーが満面の笑みで「今日も1日元気に」みたいなコメントをしがちなのですが、それも懐疑的な目で見ていました。
アナウンサーだって毎日元気なわけじゃなく、疲れているときもあるのだから、面白ければ笑えばいいし、たまには無表情でもよいのでは? そんなふうに思っていました。
話し手の喜怒哀楽が
伝わることを意識して話す
しかし、コロナ禍を経験して考えが変わりました。世の中全体が不安を抱えているとき、テレビに映っている人まで仏頂面をしていたら、救いがなくなります。ますますテレビが敬遠されてしまいます。
アナウンサーも客商売なのだから、接客業の方が笑顔で接客をしているように、笑顔を基本にすべきだと考えを改めました。
もちろん常に笑顔にしているわけではありませんが、笑顔を意識しておけば、相手も話を聞き入れる姿勢になりやすいです。会議やプレゼンでも、口角を上げて笑顔を意識することが大切です。