電気自動車(EV)用バッテリーに使用する金属の深海での採掘が、来年内に開始される可能性がある。しかし、深海採掘は環境への影響が広く懸念されている。国際水域での深海採掘を規制する国連のオブザーバー組織「国際海底機構(ISA)」は、深海採掘の規制枠組みの最終案を作成中で、向こう1年以内に168の全加盟国・地域がそれに同意する必要がある。米国はISAに加盟していない。事情に詳しい複数の関係者によると、規制が完成してもしなくても、ISAは2023年7月までに海底採掘を許可する予定だ。深海採掘の目的は、海底から多金属団塊を掘り出すことにある。多金属団塊とは、鉄や酸化マンガン層を含むテニスボール大の岩石片を指す。メキシコとハワイ間に広がる170万平方マイル(約440万平方キロメートル)の「クラリオン・クリッパートン海域(CCZ)」と呼ばれる太平洋の海底には、コバルト、マンガン、リチウムなどのバッテリー材料となる鉱物資源が含まれた団塊が大量に転がっている。ISAの2010年の推計によると、その量は約300億トンに上る。
EV用メタル深海採掘、環境に懸念も実現近づく
海底にはバッテリーの材料となる金属資源が大量に
有料会員限定
あなたにおすすめ