「不動産クラウドファンディング」を
始める人が知っておくべき注意点

「不動産クラウドファンディング」を始めるに当たり、投資家が認識しておくべき注意点を挙げてみる。

●元本保証ではない
 株式投資やJ-REITなどと同様、「不動産クラウドファンディング」も元本保証はされない。想定利回りより分配金が低い、出資金の一部や全部が返還されないといった元本割れもあり得る。特に相続税対策を目的として「任意組合型」を始めるなら、前項で述べた通り、投資家にも運用責任は生ずる。

●金融機関の融資が受けられない
 現物の不動産購入なら、金融機関によるローンなどを利用できるが、「不動産クラウドファンディング」は金融機関の融資を受けられない。出資金は全額自己負担。その分、少額から始められ、リスクも低い。

●中途解約できない
 運用期間が短めなのが「不動産クラウドファンディング」の魅力だが、ほぼ中途解約はできない。特に「任意組合型」は10年以上の長期が多く、相続の際には所有権移転の手続きも伴う。相続税対策に利用する場合、その点も注意が必要だ。なかには中途解約可能な商品もあるが、想定利回りが低くなりやすい。

 以上のことを踏まえると、相続税対策のためと安易に「不動産クラウドファンディング」を選ぶ前に、冷静な考慮を要する。余裕資金があるなら、生前贈与との比較検討も必要だろう。専門家への相談をお勧めする。相続税対策にはなるが、リスクを伴う不動産投資であることを承知の上で行っていただきたい。

 なお、現物不動産の売買経験がある方ならご存じだろうが、宅地建物取引業者には宅地建物取引業法で「標識の掲示」や「証明書の携帯」が義務付けられている。「不動産クラウドファンディング」事業者の許可を得るにも、前提として宅建業者免許を得ていることが不動産特定共同事業法で定められている。

 国土交通省から許可された「不動産クラウドファンディング」業者であれば、ホームページに以下のような宅建業者としての免許番号等が明示されているはずだ。信頼に足る業者選びの一つのチェックポイントとなる。また、宅建業者は国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムで検索できる。

不動産特定共同事業 第○号事業者
許可番号:○○都道府県知事 第○号
宅地建物取引業者 ○○都道府県知事(○)○○○○○○号