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少額から不動産投資でき、不動産管理の必要もなく、Webを介して始められるので、コロナ禍で人気急上昇の「不動産クラウドファンディング」。相続税対策としても注目度が高い。しかし、詐欺事件や横領事件などが相次ぎ、不安を覚える人も多いようだ。(税理士、岡野相続税理士法人 代表社員 岡野雄志)

そもそも「クラウドファンディング」とは?
今さら聞けない基礎知識を解説

「クラウドファンディング」は、クラウド(crowd/群衆)とファンディング(funding/資金調達)を合体させた言葉だ。2000年代、インターネットの普及に伴い、米国で誕生したとされる。日本初登場は11年で、東日本大震災があったため、新たな資金調達と寄付の手段として注目され、急激に普及した。

 インターネットの利点を生かし、地域を越え、より大勢から資金や寄付を集められるのが革新的だ。しかし、事業などの目的を成すため、不特定多数から資金を募る行為自体は、今に始まったことではない。寺社などの新造・修復・再建のため、浄財の寄付を広く求める「勧進・寄進」は古くから存在する。

「不動産クラウドファンディング」とは、インターネットを通じ投資家から募った資金で不動産を賃貸・取得し、賃貸料や不動産売買から得た利益を投資家へ再分配する投資手法である。いうなれば、「不動産小口化商品」のインターネット版だ。

 これまで不動産投資といえば、不動産購入による直接投資や不動産投資信託などだった。しかし、17年12月、「不動産特定共同事業法」が改正され、「小規模不動産特定共同事業」に関する事項が創設され、「不動産クラウドファンディング」事業の環境が整備されたことによって、インターネット上での投資が可能となった。同法の定める要件を満たし、免許を得なければ、不動産クラウドファンディング事業は運営できない。

 1口1万円程度から始められるものもあり、直接投資のように入居者管理や修繕費の負担も必要ない。投資対象は、人気のタワマンをはじめ居住用マンションもあれば、商業・オフィスビル、リノベーション住宅、リゾート開発地……と幅広い。初心者が気軽に始めやすいが、投資である以上リスクも伴う

 近頃では、不動産投資のビギナーだけではなく、富裕層からも相続税対策スキームとして「不動産クラウドファンディング」が注目されている。