「マクドナルドでスターバックス気分というのは無理があるんじゃないの?」

 と思うかもしれませんが、それがそれなりにうまく作られているのです。

 確かに外から見るとお店の上には大きな黄色いMのアーチが輝いているので、お店はマクドナルドにしか見えません。

 でも、店内に入って、しかも1階のマクドナルドっぽいカウンターをスルーしてそのまま2階に上がってしまうと、よく知っているマクドナルドとはまったく異質の、なんとなく居心地のいい空間が広がっているという具合です。

 ちなみに恵比寿駅前店の場合、ちょうどはす向かいにあるスターバックスの店舗との圧倒的な違いは、席数が多いことです。

 スターバックスに入ると、「座れるかな?」という心配が真っ先に頭をよぎりますが、McCafé by Baristaなら200席近い座席が用意されていますから、その心配はまったくありません。

 マクドナルドの「カフェ業態」としてみれば、私は「そこそこいいんじゃないか」と思いましたが、知人に言わせると「ちょっと安いスタバ」のような印象を受けたということです。

 そこで今回の記事では、マクドナルドが「カフェ」を頑張る理由について考えてみたいと思います。

McCafé by Baristaは
同じ顧客から違う需要を取り込むための戦略

 そもそもの話をさせていただくと、外資系企業というのは比較的秘密主義の会社が多いものです。そして戦略についても、最小限の説明しかしない傾向があります。

 これはある意味当たり前のことなのですが、市場で他の競合企業と競争しているのですから自分の戦略について明らかにしないというのは正しい戦い方です。

 日本マクドナルドの決算説明会資料を見ても、戦略については大きな方向性を述べるにとどまっていて、McCafé by Baristaのような個別の戦略の話はほとんど語られていません。

 あくまで外部からの推理として以下、お読みいただければと思います。

 マックカフェは、世界のマクドナルドの中ではオーストラリアから始まって全世界に広がりました。日本では1998年以降何度か試験的に導入し、いったんの中止を繰り返したうえで、2012年から現在のようなMcCafé by Baristaという店舗内展開形式が定着するようになりました。

 では、ファストフードの王者であるマックがなぜ、同じ店舗の中でわざわざ高価格路線のカフェにも進出しているのでしょうか。

 私は、McCafé by Baristaは同じ顧客から違う需要を取り込むための戦略だと見ています。これは、マクドナルドが朝食メニューを始めたときと同じ考え方に思えるのです。