6月に茂木友三郎・キッコーマン取締役名誉会長などが中心となり令和国民会議(令和臨調)が発足した。臨調立ち上げの背景、日本経済の現状や先行きに対する危機感などについて茂木氏に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
積み残しの問題を解決しなければ
日本でポピュリズムがはびこりかねない
――令和臨調を立ち上げた背景を聞かせてください。
世界では、ポピュリストの政治家が支持を集めている。フランス大統領選挙では、中道のマクロン大統領が当選したが、ポピュリストの候補もかなり票を集めた。米国のトランプ前大統領も2024年の大統領選に出馬し、勝利するかもしれないと言われている。
なぜそうなるのか。世界各国で解決されない問題が多く積み残されている。そうした問題を解決するために強いリーダーを望む声が増えてくる。ポピュリストは強い言葉で国民にアピールする。そのため、国民がこの人ならやってくれるのではと期待を持ってしまう。
日本ではそうした動きはまだない。しかし、積み残された問題が多くあることも事実だ。いつ日本でもポピュリズム的な動きが出てくるかわからない。そうした事態を回避するために、今のうちに残された問題を解決するようにしないといけない。そのための運動を起こそうというのが令和臨調のスタートの背景にある。
――これまでも民間が設立した臨調がありましたが。
一つ目は、1992年に当時日本生産性本部会長だった亀井正夫さんが中心になって設立された「民間政治臨調」。小選挙区制の導入を提言し、後の選挙制度改革において実現した。
二つ目は、2003年の「21世紀臨調(新しい日本をつくる国民会議)」。私も共同代表で参画した。政党はマニフェストを掲げて選挙に臨むべきだと訴えた。
ここ数年、日本が抱える問題を解決するために民間臨調が必要だという声が経営者、学者、労働組合から上がってきていたことを受けて、今年6月に令和臨調を発足させた。
茂木氏らが令和臨調を立ち上げた背景には改革が進めない日本経済への危機感がある。次ページからは茂木氏が考える現在の日本に欠けている要因などについて聞いていく。