スポーツには技術が不可欠ですが、その技術を表現するために筋肉が動いています。その筋肉に指令を出すのは脳。興國高校ではサイズの違ったボールを複数使って、脳を刺激するトレーニングを実施しているのですが、その部分に通ずると感じました。

 呉さんに連絡をとって、実際に速読脳トレをトレーニングに加えてみました。速読脳トレをしようと思って、パラパラと本をめくっても内容が入ってきません。ただ、何度も本めくりを繰り返すことで、「短い時間でたくさんの文字を見ろ」と脳が指示する。これが不思議で、読める文字数がどんどん増えるんですよね。

情報処理能力が高いと
高度な技術を存分に発揮できる

「試合中にパラパラしろ!」隠れた強豪サッカー部を支える速読脳トレの効果

 脳についてよく調べるんですが、その対応力というものは本当にすごい。視覚を失った方は、指の触覚を使って、文字が読めるようになる。ここにも脳の動きがあるそうです。

 また、歴史的に天才と呼ばれていた人たちの中には、脳機能のバランスが取れていないこともあります。ただ、足りない部分は、どこかの機能が補おうとして発達するので、特殊な能力になったりするのです。一度見た景色を絵に描けたり、何年後かの今日の日の曜日が言えたりとか、私たちには持ち合わせていない能力が発揮できることも。

 速読脳トレで脳に刺激を入れることで、サッカーの場面でも活かされていることがあります。多くの場面で、情報処理能力を問われるのがサッカーです。周囲を見て、誰がどこのポジションにいて、どの方向を向いているか。また、どこにスペースがあって、今ボールがどこにあるか。収集する情報は多く、それがどう動くかの予測も必要です。有能なサッカー選手は、情報処理能力が高いので、高い技術をそのまま発揮することができるんです。