古橋亨梧らプロ選手を10年間で30人以上輩出、興國高校サッカー部の育成メソッド「関西のバルセロナ」と呼ばれるほどの強豪校に成長した、興國高校サッカー部に根付く思考法とは

大阪府の興國高等学校サッカー部には、プロを目指す若き才能が数多く集まる。興國高校の体育教師にしてサッカー部監督を務めるのは、自身も強豪高校で活躍した内野智章氏(初芝橋本で全国選手権ベスト4)。2006年、監督に就任すると、同校を「関西のバルセロナ」と呼ばれるほどの強豪校に成長させた。また日本代表選手・古橋亨梧を始め、この10年間で30人以上のプロ選手を輩出(Jリーガーは27人)。サッカーの技術だけでなく、高校生が高校生らしく、本来持ち合わせているべき感覚を尊重する指導法が特徴だ。内野監督に、同サッカー部に根付く、トップダウンとボトムアップが融合したハイブリッド的思考について聞いた。(取材・文・撮影/編集者・メディアプロデューサー 上沼祐樹)

ボトムアップで強化された
興國高校の「チーム力」

 興國高校サッカー部のチームビルディングにおいて、「ボトムアップ」は欠かせないキーワードです。まだまだ道半ばではありますが、高校生の“考える力”をなんとか伸ばそうと、日々努力を重ねています。

 ――話し合いの中で自己主張しながら、周りの自己主張も受け入れる。

 これは、私が考えるボトムアップの定義。ですので、トレーニングメニューや試合に出るメンバーなどは、選手らが中心になって決めるようにしています。まず、部員たちが投票する形で、複数のキャプテンを選出(2022年度は7人)。「出場メンバーから自分が外されても、このキャプテンに外されたんだったら納得できる」、そういった人間性を持ち合わせた人をキャプテンに選んでもらっています。

 選ばれた複数のキャプテンは、部内のあらゆる意思決定を担っていく。当然ですが、全てを彼らが背負うわけでなく、監督やコーチも連携しており、一緒に模索していく形になります。