選手も実感する判断スピードの向上
傷や怪我の治りが早くなることも?

 試合中に「パラパラしよう」と声がけしています。これは、首を振って情報を入れて、常に違う景色を頭に入れることを指します。試合中に脳を休ませないためです。つまり、集中力を高める効果があるんですね。

 我々はフィジカルトレーニングはやりません。ですので、夏場のタフな状況下で90分間の試合をすると、試合の終盤にパフォーマンスが下がりがち。ただ、この速読脳トレを採り入れてからは、フィジカル的なパフォーマンスは下がるものの、判断のミスが減ったことで、大きな失敗も減ったと思います。

 速読脳トレを取り入れることで、定量的な成果はなかなか導き出せませんが、選手も判断スピードが上がったことを実感しているようです。これは呉さんに聞いたエピソードですが、傷や怪我の治りが早くなることもあるようです。怪我のせいで杖をついていたおばあさんが速読脳トレをすることで、みるみる成果が出たんです。

 脳を刺激して、しっかり働いてもらうことで、体も連動するんですね。非科学的な部分が多いので断定はできませんが、引き続き速読脳トレは活用していこうと思っています。

内野智章(うちの・ともあき)/興國高校サッカー部監督。小学校3年のとき、地元の白鷺サッカー少年団でサッカーを始める。高校1年時に全国高校サッカー選手権大会に出場し、ベスト4進出。高校卒業後、高知大学へ進学。卒業後、愛媛FC(当時JFL)に入団。2006年より興國高校の体育教師、及びサッカー部監督に就任、これまでに30人以上のプロサッカー選手を輩出

*「内野智章・興國高校サッカー部監督に聞く(3)」に続きます。