JR東海が1993年から行ってきた観光キャンペーン「そうだ 京都、行こう。」が今夏、2年半ぶりに復活した。その狙いは何か。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
2年半ぶりに復活した
京都観光キャンペーン
盛夏は過ぎ去り、季節はゆっくりと秋に向かっている。とはいえ、気温が30度を超える日も多く、まだまだ涼が恋しい日々。ならば、外出をためらう暑さが収まり、コロナ感染第7波がピークを超えた今こそ、夏の名残を感じる旅もいいのではないだろうか。
そんな最後のチャンスになりそうなのが今夏、2年半ぶりに復活したJR東海の「そうだ 京都、行こう。」だ。9月30日に終了する今回のキャンペーンは<影の涼><風の涼><水の涼>などを味わう、夏の京都の魅力がテーマ。
日本の二大古都として知られる京都と奈良だが、その魅力は「仏像の奈良、庭の京都」と言われる。石や水の配置で表現される日本庭園を光と影で切り取ることで、その見え方は大きく変わってくる。
例えばCMの舞台にもなった「建仁寺」は鎌倉時代に開かれた禅寺。建仁とは13世紀初頭の元号。今年のNHK大河ドラマで描かれた源頼家の寄進で建立された寺だ。「潮音庭」は四方正面の見る角度によって表情が変わる禅庭と知られ、屋根や戸の作る影越しに見る姿は涼やかだ。