現状はマイナ保険証非対応の病院で
健康保険証で受診するのが一番安くなる

 オンライン資格確認ができる体制が整っていない病院や診療所、薬局では、そもそも加算自体が付かない。そのため、現状では、マイナ保険証に関する医療費については、マイナ保険証に対応していない病院や診療所、薬局を利用するのが、一番医療費が安くなる。

 マイナ保険証を利用すれば、すべての病院や診療所、薬局で医療費が安くなるわけではないのだ。反対に、マイナ保険証に対応していない病院や診療所、薬局にマイナンバーカードを持っていっても、健康保険の資格確認ができない。そのため、いったん医療費全額(10割)の支払いが求められることになる。

 健康保険証を持たずに受診して、窓口で医療費の全額を支払った場合でも、加入している健康保険組合に療養費を請求すれば、自己負担分を除いた分を後から取り戻すことはできる。とはいえ、健康保険が使えないと、その分、持ち出しが多くなるので、注意が必要だ。

 厚生労働省は、23年4月までに、すべての病院や診療所、薬局に対して、マイナ保険証による健康保険の資格確認システムを導入することを義務付けている。マイナ保険証を利用する体制が整えば、現在の加算も見直されて、受診する医療機関によって医療費が異なるということもなくなるはずだ。

 だが、9月4日現在、マイナ保険証による健康保険の資格確認ができる医療機関の割合は、病院が44.7%、医科診療所が19.1%、歯科診療所が20.0%、薬局が49.0%で、いずれも半数に満たない状況だ(厚生労働省「オンライン資格確認の都道府県別導入状況について」より)。

 現状では、受けた治療内容は同じでも、マイナ保険証に対応している医療機関かどうかで、医療費は数円~数十円の差が出ることになる。

 当面は、医療機関や薬局を利用するときには、マイナンバーカードと健康保険証の両方を持参して、マイナ保険証の対応状況に合わせて、お得になるほうを使い分けるのが得策のようだ。