ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
ソーシャルディスラプト最前線

“都市密着型の投資と育成”でスタートアップを支援。TechStarsが考える起業成功の近道とは?

岡本彰彦 [Recruit Strategic Partners, Inc. 代表]
【第4回】 2013年1月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
4
nextpage

製品やアイデアは簡単に変更可能。
だから人と市場を見て投資する

岡本 TechStarsやBoxGroup*2にとって、投資するかどうかを決めるとき、最も重要なことは何か。
*2 DavidとAdamが代表のマイクロVC、 BoxGroupでは、25K〜250Kまでの少額出資をこれまで74社に行っている。http://www.boxgroupnyc.com/

David いかなる意味においても企業を支援するにあたっては、まずチームと人を見るべきだ。そして自分の信じるその人間が何かすごいものをつくりうるか?と考える。どんなに大変でも、この人物は会社を興せるだろうか?と。

 トップへと登りつめるために、壁を越えて、そしてどん底を乗り越えていけるのか、それから市場について考える。これは正しい市場か?破壊しうる市場か?ビッグビジネスをするのに十分な大きさの市場か?と。そういう市場もあれば、そうではないものもあるからね。

岡本 人と市場をまず見る。その次は?

David 次に、製品やアイデアを見る。最後にそうするのは、これは簡単に変更できるからだ。チームや市場を変えるのはそれよりもずっと難しい。素晴らしいチームや素晴らしい市場はどうやってビッグビジネスを構築するかを指し示してくれるが、素晴らしい市場があってもチームがダメならそうはならない。だから特に投資をする段階ではチームに注目するんだ。

岡本 良いチームにとって必要な条件は何か?

David 僕がもっとも重要だと考えているのは創業者とプロダクトがいかにフィットするかなんだ。優れた創業者がもっているのは、頭脳でも出身校でも経験でもネットワークでもなく、実際には情熱なんだよ。成功する会社を見れば、創業者はつくった会社に情熱を抱いている。よい創業者とそうでない創業者の間にはそういう大きな違いがあると思う。

岡本 日本でもスタートアップが増えてきている。インフラが整い、マーケティングコストが抑えられたからだ。彼らの中には、情熱をもった創業者も多いはずだが、経営が上手くいっている確率は下がっているようにも思えるが。

David たしかに、会社を興すのはどんどん簡単になってきているけれど、会社を確立するのはどんどん難しくなっている。そしてこれはよくない状態だと思う。

 ほんの1年の間なら、スタートアップで仕事はできるだろうが、全てのスタートアップが生き残るわけじゃない。同じ市場でなにかをつくろうとしている会社が他に10あったとしても、おそらく成功するのはそのうちの1社だけだからね。

 その残りの9社には仕事が必要になるのだけど、彼らは大企業から予算をもらったり、買収してもらうことはできないだろう。

 だから人々は現実的になって、起業することは簡単だが会社を育てることは本当に非常に難しいという点を理解すべきだと思う。起業するコストは下がっても、会社を育てるコストは下がらない。だから会社をつくるなら、たった1年のものではなくて長期に渡るビジョンと計画をもたなければならない。もしたった1年だけのプランしかないなら、たった1年間のビジネスになるだろう。

previous page
4
nextpage
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

岡本彰彦
[Recruit Strategic Partners, Inc. 代表]

株式会社リクルートの投資会社であるリクルートストラテジックパートナーズの代表取締役として、コーポレートベンチャーキャピタルファンドを活用し、日本のみならず、北米、東南アジアをはじめとしたグローバルな投資·事業開発活動を推進する。現職就任以前は、銀行、ベンチャーキャピタル、証券会社などでストラクチャード·ファイナンスや新事業開発に従事した後、2007年にリクルートに入社し、主に同社住宅カンパニーにおける事業開発の責任者とブランドマネジャーを担当。

ソーシャルディスラプト最前線

Facebook、Twitterといった、いわゆる「ソーシャルネットワーク」が日々の生活にかかせないもの、あえて言えば"必須のインフラ"となったことで「ビジネス」の変化が急激に進んでいる。
電力インフラの整備が、モータリゼーションの加速が、パーソナルコンピューターの普及が、かつてビジネスの変化を決定づけたように、いま現在、「ソーシャル」はビジネスにどのような変化をもたらそうとしているのか?
実際にソーシャルを使ったビジネスで急激に成長するサービスを紹介しながら、その変化の兆しを探っていく。

「ソーシャルディスラプト最前線」

⇒バックナンバー一覧