勉強、お手伝い、お友達と仲良くすること……親の考える子どもらしさや、男らしさ・女らしさを求められた人もいるかもしれませんね。

 例えば、勉強で結果を残すことを求められた人は「仕事でも結果を残すべき」と思うようになります。
 結果を残した時にしか褒められなかった人ほど、結果にこだわりやすいです。努力したかどうかではなく、「結果を出せるかどうか」で判断します。

 とはいえ大人になれば、子どもの時ほど結果を出せるチャンスは多くありませんから、結果を出せない自分を責めてしまったり、周囲と比べて落ち込んでしまったりすることも増えてしまいます。

 結果を出して「当たり前」だった人は、何か達成できたとしても「これくらいで」「上には上がいる」と自分に厳しくなりがちです。
 やってもやっても満足できず、いつも「何か足りない」ような感覚を抱きます。自分の努力を認めたり、自分を褒めたりするのが苦手な人が多いです。

 結果を出せずに怒られたり、親をガッカリさせたりした経験のある人は、「結果を出せない自分には価値がない……」と恐怖に近い感情を抱きます。
 過去の傷が深い人ほど、挑戦する前から「どうせ自分には無理」「やっても意味がない」とあきらめがちです。防衛反応から挑戦しないことを選んでしまうのです。挑戦しなければ、誰かをガッカリさせることもなく、自分自身が傷つくこともありませんから。

 このように親があなたに求めた「過去のルール」は、大人になっても「しなきゃ」「すべき」と影響を与えます。

 こういった過去の影響は、特に意識しない限り自分では気がつけません。
 そうすることが当たり前になっているからです。

「しなきゃ」「すべき」と思うことそのものが、悪いのではありません。
 世の中には、しなきゃいけないこともたくさんあります。

 でも「しなきゃ」「すべき」のせいで心が疲弊しているのなら、「過去のルール」が強すぎるのかもしれませんね。

「○○しなきゃ」「○○すべき」と思うことをすべて、紙に書き出してみてください。スマホに打ち込んでもOKです。
 すべて書き出したら、文字がギリギリ見えるくらいの距離まで離して、眺めてみてください。

 さて。書き出した内容は、あなたが「したいこと」でしょうか?
 もしかすると、「子どもの頃に親があなたに求めてきたもの」「親があなたに期待してきたもの」ではありませんか?

 過去のルールは、子どもの頃のあなたには必要不可欠でした。
 そのルールはその家で生きていくために、あなたに必要だったはずです。

 でも大人になった今、家の中で必須だった「過去のルール」の中には、もう必要ないものもたくさんあります。

「しなきゃ」「すべき」のせいで毎日が息苦しかったり、人間関係に疲れてしまったりしているなら「過去のルール」を減らしていきましょう。
 過去のルールを減らす第一歩は、子どもの頃の思い込みに気づくことです。

Poche(ポッシュ)
精神科クリニックに併設のカウンセリングルームで10年以上、心理カウンセラーとして勤務した後、独立。現在は人間関係、親子問題、機能不全家族専門カウンセラーとしてメールでのカウンセリングを中心に活動。2021年より悩みを抱える方たちに「気づき」を得てもらうことを目的としたTwitterでの発信を開始すると、1年後の2022年初めにフォロワー2万人超えとなる。メールでのカウンセリング、対面カウンセリングともにいつも予約がいっぱいで、現在も数ヵ月待ちの超人気カウンセラー。@Poche77085714