『スター・トレック』は、国際社会の基礎教養

『スター・トレック』は、サイエンスやテクノロジーの発展にも大きな影響を与えている。

 73年にモトローラが発表した、世界初の携帯電話を開発したマーティン・クーパーは、『スター・トレック』に登場する通信機が着想のきっかけの一つだと語っているし、Alexaのようなスマートスピーカーにも本作がインスピレーションを与えているという。

 研究者にもトレッキー(『スター・トレック』の熱烈なファンをこう呼ぶ)は多い。世界的な宇宙物理学者として有名なスティーヴン・ホーキングがトレッキーだったことは有名だし、Xプライズ財団やシンギュラリティ大学の創設者であるピーター・ディアマンディスも著作などで『スター・トレック』にしばしば触れている。

 試しに、論文が検索できるCiNii(サイニイ)やGoogle Scholarに「star trek」や「スター・トレック」というキーワードを入れてみてほしい。哲学や心理学、物理学から生物学まで、多種多様な研究がヒットする。

 筆者も、国際学会で海外の研究者から『スター・トレック』の話題を振られたことが何度もある。同様の経験を持つビジネスパーソンも多いのではないだろうか。日本でいえば『ドラえもん』レベルに浸透しているポピュラーな作品なのだ。基本的な世界観を理解しておくだけで、文化や人種や国境を越えて、コミュニケーションが広がるのだから、基礎教養としてかじっておいて損はない。そして、もちろん面白い。