EUの中でも最強の経済大国といわれるドイツだが、近年、中国への依存度を高めている。ドイツ国民の生活にも、徐々に中国貿易の影響が出始めた。特に「中欧班列」と呼ばれる国際貨物列車の存在は無視できない。中国依存に対しては、ドイツ国内でも警戒感を強める声が強くなっているが、果たして脱却できるだろうか。(ジャーナリスト 姫田小夏)
中国依存してきたドイツの苦境
「ドイツは中国への依存を断ち切らなければならない」――。9月上旬、ドイツ銀行のCEOクリスティアン・ゼービング氏は、フランクフルトで開催された金融の会議でこう語った(米メディアCNBC)。
ゼービング氏は地政学的緊張を理由に「グローバリゼーションの中断」を掲げると同時に、「中国への依存を減らすには、ドイツがロシアのエネルギーを切り離すことと同じくらい根本的な変化が必要になるだろう」と述べ、ロシアと中国に依存度を高めてきたドイツの苦境をにじませた。
ドイツでは、ロシアからのガス供給の減少、エネルギーやその他の商品価格の上昇に加え、中国の「ゼロコロナ政策」の影響を受けてサプライチェーンが混乱している。
しかし、上海でロックダウンが実行された2022年4月でさえも、中国からのドイツの輸入は167億ユーロ(約2.4兆円)と前年同月比52.8%の増加となり、医薬品の原材料となる化学製品、データ処理機器などの輸入が伸びた(ドイツ連邦統計局)。
ドイツは中国依存から抜け出すことができるのだろうか。