京都企業の血脈#10

独自の存在感で“世界のグローバルニッチ企業”の座を獲得した京都企業。ダイヤモンド編集部では、京都企業が持つ独自性や独創性を数字で評価するため、独自に定義した6指標を用いて「世界で勝てる京都企業ランキング50社」を作成した。特集『京都企業の血脈』の#10では、本邦初のランキングを大公開する。世界市場を席巻する京都企業の“実像”が明らかになった。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

京セラ・稲盛氏vs日本電産・永守氏
カリスマ創業者を持つ京都企業対決の軍配は?

 京都企業といえば、創業者のカラーが色濃く残るものづくり企業というイメージが定着している。

 1933年創業のオムロン・立石一真氏、44年創業の村田製作所・村田昭氏、59年創業の京セラ・稲盛和夫氏、73年創業の日本電産・永守重信氏。創業者が強いリーダーシップを持つこれらの企業は、日本だけではなく世界をも動かす「グローバルニッチ企業」に成長した。

 ここにきて、京都企業の代替わりを象徴するような出来事が相次いだ。京セラの稲盛和夫氏が死去し、日本電産・永守氏の後継者問題が振り出しに戻ったのだ。京都企業は代替わりのときを迎えており、それぞれの企業が「脱・創業者シフト」の歩みを進めているところだ。

 創業家の血脈が途絶えてもなお、唯一無二の存在であり続けること――。京都企業の後継者たちは皆、創業者のDNAを継承する、あるいはそれをさらに進化・発展させるという重責を担うことになる。それは、一般的な大企業のサラリーマン社長が負う責任とは全く異質のものである。

 ではそもそも、京都企業の持つ競争力とは何なのか。

 京都企業を表す特徴として頻繁に語られるのが、「日本市場にこだわらず世界市場を展望する」「人まねをしない」「短期視点よりも長期視点を優先する」「監督官庁の規制を過度に受けにくい」といったことである。

 今回、ダイヤモンド編集部では「世界で勝てる京都企業ランキング【50社】」を作成した。上に記したような、京都企業が持つ独自性や独創性を「数字」で評価しようという取り組みである。ランキング作成に当たっては、東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストの協力を得た。

 まず、京都らしさを有しており、かつ競争力のある企業を「世界で勝てる企業」とした。京都らしさは以下の6項目で定義する。

(1)イノベーション創出度/売上高利益率:イノベーションによって高い収益を得られているか

(2)経営効率/自己資本利益率:株主の視点からどれだけ効率良く利益を生んでいるか

(3)グローバル開放度外国人株式所有比率:外国人投資家にも評価される経営ができているか

(4)オーナー支配度/役員株式所有比率:創業者や役員の経営への関わりは強いか

(5)財務体質の強化度/自己資本比率:返済義務のある負債に依存せず経営は安定しているか

(6)ネットワーク緊密度/特定投資株式銘柄数:取引先企業や取引先金融機関など、他企業の株式を保有するようなウェットな関係性はあるか

 それでは実際に、ランキング結果を見ていこう。任天堂や京都企業の“御三家”とされる日本電産、京セラ、村田製作所は何位に入ったのか。また、上記指標において「京都企業50社平均vs上場企業平均」で比較したところ、世界市場を席巻する京都企業の“実像”が明らかになった。