カリスマ経営者として知られる日本電産の永守重信会長は、経営者の仕事を「結果がすべて」であると説く。会社をつぶさないためには「リスク管理」が大事だが、会社がダメになるケースでは、必ずと言ってよいほど、経営者を惑わす「6悪」が原因となっているという。
*本稿は、永守重信『人生をひらく』(PHP研究所)の一部を抜粋・再編集したものです。
経営ほどシンプルな仕事はない
みなさん、経営に対してものすごく難しく考えているかもしれませんが、経営というのはものすごく簡単なことなのです。五十数年間、経営者をやってきて、私がたどり着いた結論は「経営ほどシンプルな仕事はない」ということです。極端なことをいえば、一番バカな人間が経営をやったほうがいいと思っているくらいで、開発とか営業とか生産のほうがよほど難しい。
実際、高収益企業、伸びている企業のトップを見ても、いわゆる秀才型は少ないと私は思っています。どちらかといえば、挫折ばかり繰り返しているような人間のほうが成功している。もし、経営が難しいものなら、そんな人間が経営してうまくいくわけがありません。うまくいっているということは、経営というものがシンプルであり、簡単なものであることの証拠に他ならないわけです。
何がシンプルかといえば、そもそも経営というのは、結果がすべてである点です。途中どんなことを考えて、どうやったかは関係ない。どんなに考えて経営しても、一度業績が悪くなったら無茶苦茶言われてしまう。逆に、業績が上がったら、手のひらを返したように賞賛されるというように、結果がすべてなので途中のことは誰も問わないのです。
では、結果とは何かといえば...。