宿泊業を救うDXツール「サイトコントローラー」とは?関所ビジネスの驚くべき収益性宿泊業を救うDXツールとして注目されているのが、「サイトコントローラー」と呼ばれる宿泊予約サイトを一元管理するソフトウェアだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 旅館・ホテルや高級レストランを利用するときに、旅行サイトやグルメサイトから予約する人も多いだろう。しかし、予約サイトは複数存在するため、別々のサイトから予約が入った場合、旅館・ホテルやレストランは、どのように対応しているのだろうか。ダブル・ブッキングしたらまずいし、サイトごとに枠をつくって機会損失(予約の取り損ない)を生んでしまってもまずい。

 こうした中、注目されているのが「サイトコントローラー」と呼ばれる、宿泊予約サイトを一元管理するソフトウェアだ。

脅威の利益率!宿泊業を救った
「サイトコントローラー」とは

 先頃日本経済新聞が、売上高300億円以下の中堅上場企業2000社を対象に、「稼ぐ力」を示す売上高純利益率の3年平均をランキングしたところ、宿泊施設向け予約管理システムを手がける「手間いらず株式会社」が、純利益率47%で首位となった(*1)。同社の「稼ぐ力」の秘密はこのサイトコントローラーであることから、いかにこのソフトのニーズが強いか、おわかりだろう。

 本稿では、今注目を集めるサイトコントローラーとは何者なのか。そのビジネスモデルを明らかにし、今後を展望する。なおサイトコントローラーは、宿泊施設以外にも航空業界、飲食業界にもあるが、本稿では宿泊施設の予約に焦点を絞って述べていこう。

(*1)日本経済新聞 2022年9月19日

じゃらん、一休.、楽天トラベル…
宿泊予約サイト台頭の歴史

「サイトコントローラー」を理解するには、まず日本における宿泊予約の歴史を見ておく必要がある。

 宿泊施設を予約する場合、1990年代までは、電話、旅行会社の窓口、みどりの窓口などでの予約が一般的であった。そうした中、1996年に日立造船の子会社である日立造船コンピュータが、インターネットを用いたホテル予約サイト「ホテルの窓口」を立ち上げた。これが、日本における宿泊予約サイト(OTA:Online Travel Agent)の先駆けとなった(「ホテルの窓口」は「旅の窓口」に改称し、後に楽天に売却され、これが「楽天トラベル」の原型となった)。

 インターネットの普及によって宿泊施設のネット予約は拡大を続け、2000年を境に「じゃらんnet」「一休.com」「楽天トラベル」などが相次いで参入した。その結果、OTAは現在では国内における宿泊予約の最大販路となっている。