中国の「潜在成長力」が急低下、米中対立で高まる“テクノロジー・デカップリング”の脅威面子に拘ってゼロ・コロナ政策を撤回出来ないことが回復を妨げているのは事実だが、そんなことは短期的な問題に過ぎない(ロックダウンに入った深セン市内の様子) Photo:Future Publishing/gettyimages

世界の行方を左右する
中国の長期的な成長力

 米国とユーロ圏の景気後退入りの公算が高まり、グローバル・リセッションも視野に入ってきた。こうした局面で、これまで常に救世主として存在感を示してきた中国経済の様子がおかしい。22年は3.2%、23年も4.9%と、5.5%の成長目標には程遠い低成長が続く見通しだ。

 面子に拘ってゼロ・コロナ政策を撤回出来ないことが回復を妨げているのは事実だが、そんなことは短期的な問題に過ぎない。現在の中国の成長伸び悩みは、より深刻な構造的な問題がもたらす長期的な成長率低下という文脈で理解すべきだ。

 オックスフォード・エコノミクスは、独自の経済モデルで長期のマクロ経済予測を行っている。最新の予測によれば、1999-2019年に平均9%であった中国の成長率は、2020-30年に4.5%、2030-40年には3%にまで低下する。

 中国の長期的な成長力の行方は、世界経済の今後の成長という点だけでなく、台湾を巡って一段と激化する米中覇権争いへ影響を与えるかたちでも今後の世界の行方を大きく左右する。

 中国が高い成長を続け、米国にキャッチアップし、いずれは凌駕していくと考えれば、中国は台湾を巡って軍事侵攻など拙速な行動をとる必要はなく、長期の持久戦に持っていけばよい。一方、もし中国の成長力が盛りを過ぎて今後落ちていく一方であるならば、早いうちに台湾問題の決着をつけたいという判断もあり得る。