ローマ教会の指導者たちは
どんな感情だったか?

 それまでローマ教会は次のように教えていました。

 死後に天国に行くか地獄に行くか、それは最後の審判のときに決まる。

 だから生きているうちに善行を積み重ねて、最後の審判にパスすることが肝要である、と。

 しかし、一人の人間が善行を積んだかどうか、誰が判断してくれるのか。

 結局のところは、ローマ教会の最高権威者であるローマ教皇です。

 そうすると教会に土地を寄進したり、お布施をたくさん喜捨したりすることが、一番わかりやすい善行となるので、信者たちはそれを信じて教会で礼拝し、司祭たちに従ってきました。

 ところが、生まれる前から、死後の運命が定まっているのであれば、教会で祈ることもお賽銭を積み上げることも何の役にも立たないことになります。

 ローマ教会の指導者たちには、カルヴァンの予定説は、このうえもなく敵対的な教説に思えたことでしょう。