長期保有銘柄として、高級車ブランドは大衆車よりも適しているはずだ。だが、高級車ブランドが不況の影響を受けないという意味ではない。ポルシェは、新規株式公開(IPO)から2週間も経たないうちに、既に時価総額で支配株主のフォルクスワーゲン(VW)を抜いた。資本構造の違いを考えると、これは単純な比較に過ぎない。しかし何より、需要減退のリスクをますます無視し難くなっている中で投資家が手頃な価格の車よりも高価な車を選好していることを浮き彫りにしている。ほとんどの自動車銘柄の株価収益率(PER)は1桁台半ばであるのに対し、ポルシェの今年の業績見通しに基づく予想PERは、現在約17倍となっている。そのような中で、景気への懸念は大西洋の両側で高まっている。欧州で焦点となっているのはエネルギー問題だ。政府の大規模な支援策にもかかわらず、電力料金の高騰は経済活動や個人消費の妨げになる可能性が高い。米国では、金利の上昇が、通常クレジットで販売される商品に対する問題となる。中古車大手カーマックスが先月発表した低調な四半期決算と、「個人消費の動向としては(中略)嗜好(しこう)品はより小さなものへ移行する」との同社の警戒的な見通しは、業界中にショックを与えた。