投資上の「中国リスク」をどう管理する?
――地政学的に、日本は中国の脅威を真剣に捉える必要があると思います。投資という観点で、「中国リスク」をどう考えればよいでしょうか?
奥野 非常に重要なポイントですね。例えば、台湾で有事が発生した場合、米軍は日本の基地から出動するので、日本は「戦争当事国」になります。
なので、投資家としては、中国の経済面の伸びしろと、安全保障面でのリスクを、どうバランスさせるかを考える必要があります。
僕の場合、投資先の企業が中国で稼いでいる利益は、ポートフォリオ全体のうち「3割以下」に抑えておきたいですね。さもないと、有事があったときに資産全体が総崩れしてしまいます。逆に、ポートフォリオ内できちんとリスク管理できれば、中国関連で不測の事態が起きても大きなダメージを受けずに済みます。
競争を勝ち抜くには「俯瞰する力」が不可欠
――いまの日本にとって、海外市場で高付加価値を提供し、高収益を得る会社が増えていくことが大切だと思います。日本企業が世界で勝つためには何が必要でしょうか?
奥野 まさに、インベスターシンキングです。「安くていいものをたくさん作って売る」というビジネスで邁進すればよかった時代はもはや過去のこと。いま日本は頭を切り替えて、新しいビジネスを開拓しなくてはいけません。
そこで大事なのが「俯瞰する力」、つまり鳥の目のように上から眺めて「どの場所なら自分たちが一番戦いやすいか」を見極める視点です。
この視点が欠けた経営者、リーダーを抱える組織は、今後の生き残り競争で非常に苦労するでしょう。逆に、俯瞰する力が備わっている組織は、世界でも十分戦えます。
佐藤 人は環境次第で変わることができます。なので、「いまの経済状況は非常に厳しい」という危機意識をみんなで共有できていれば、悲観的になりすぎることはありません。
特に、Z世代の若者は、危機感をしっかりと持っています。だから、彼らはNISAや投資信託に積極的に着手しています。
ジブン・ポートフォリオをいますぐ書いてみよう
佐藤 最後に、皆さんにお勧めしたいのが、『投資家の思考法』P.200の「ジブン・ポートフォリオ」の図を、自分なりに書いてみることです。
自身がどんな金融資産・自分資産を持っていて、これからどのように増やしていけそうか、そして2つの資産でどんな相乗効果を起こせそうかということを、手を動かして考えてみましょう。そうすると、やるべきことが見えてくると思います。
奥野 「明日やろう」ではなく「いまやる」ことが大事です。みなさん、一緒に実践していきましょう。
(本稿は、ダイヤモンド社「The Salon」主催『投資家の思考法』刊行記念セミナーのダイジェスト記事です。「The Salon」の公式Twitterはこちら)