「私はなぜこんなに生きづらいんだろう」「なぜあの人はあんなことを言うのだろう」。自分と他人の心について知りたいと思うことはないだろうか。そんな人におすすめなのが、『こころの葛藤はすべて私の味方だ。』だ。著者の精神科医のチョン・ドオン氏は精神科、神経科、睡眠医学の専門医として各種メディアで韓国の名医に選ばれている。本書は「心の勉強をしたい人が最初に読むべき本」「カウンセリングや癒しの効果がある」「ネガティブな自分まで受け入れられるようになる」などの感想が多数寄せられている。本書の原著である『フロイトの椅子』は韓国の人気女性アイドルグループ・少女時代のソヒョン氏も愛読しているベストセラー。ソヒョン氏は「難しすぎないので、いつもそばに置いて読みながら心をコントロールしています」と推薦の言葉を寄せている。自己啓発書では物足りなくなった読者に、自分と他人の本心を探り、心の傷を癒すヒントをくれる1冊。今回は日本版の刊行を記念して、本書から特別に一部抜粋・再構成して紹介する。
「同一化」で自分を癒す
みなさんにはロールモデルはいますか?
自分にとって考え方や生き方のお手本となる憧れの人のことです。
「あの人のようになりたい」と努力する、こうした心理がとても強くあらわれたものが「同一化(同一視)」です。
成功した経営者の本が売れる理由も、同一化の心理が働くからです。
つらく悲しいことだらけの毎日でも、賢くて権力を持つ人と自分を同一化させれば、春の陽射しを浴びたように心がなごみます。
憧れの人のようになりたいと願う人々が集まって「誰々を愛する集い」といった同好会をつくり、集団で体験を共有しようとすることもあります。
芸能人や有名人にかぎらず、私たちには身近にいる好きな人の口調や身振りをまねようとする傾向があります。
服装が憧れの先輩に似てきたり、恋する相手の口癖がうつったりします。
この行為には、相手に対する好感と、まねしていれば相手が自分を好きになってくれるかもしれない、という無意識の期待が潜んでいます。
「まねすること」は、相手と自分をつなぐ接着剤なのです。
(本稿は、チョン・ドオン著 藤田麗子訳『こころの葛藤はすべて自分の味方だ。 「本当の自分」を見つけて癒すフロイトの教え』から一部抜粋・再構成したものです)
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『こころの葛藤はすべて自分の味方だ。』は、自分でも気づかなかった心の傷を見つけ、困難を乗り越えるためのノウハウがつまっています。ぜひチェックしてみてください。