「私はなぜこんなに生きづらいんだろう」「なぜあの人はあんなことを言うのだろう」。自分と他人の心について知りたいと思うことはないだろうか。そんな人におすすめなのが、2022年8月3日発売の『こころの葛藤はすべて私の味方だ。』だ。著者の精神科医のチョン・ドオン氏は精神科、神経科、睡眠医学の専門医として各種メディアで韓国の名医に選ばれている。本書は「心の勉強をしたい人が最初に読むべき本」「カウンセリングや癒しの効果がある」「ネガティブな自分まで受け入れられるようになる」などの感想が多数寄せられている。本書の原著である『フロイトの椅子』は韓国の人気女性アイドルグループ・少女時代のソヒョン氏も愛読しているベストセラー。ソヒョン氏は「難しすぎないので、いつもそばに置いて読みながら心をコントロールしています」と推薦の言葉を寄せている。自己啓発書では物足りなくなった読者に、自分と他人の本心を探り、心の傷を癒すヒントをくれる1冊。今回は日本版の刊行を記念して、本書から特別に一部抜粋・再構成して紹介する。
「結婚からは得るものしかない」という幻想
人は愛し合って結婚するものだといわれます。
何もかもわかり合えたと思ったときに結婚を決めます。
ですが、周囲の人々に祝福されて、ふわふわ浮かれた気持ちになるのはしばらくの間だけです。
結婚とは、未知の世界へ落ちることです。
両親や身近な人々の結婚生活を見聞きして得た間接的な経験を、自分の生活にそのまま活かすことはできません。
結婚は人生における、とても重大な決定です。
幸せな結婚生活を望んでいても、自動的に叶うわけではありません。「幸せになれるチャンス」が手に入るだけです。
パートナーに対して十分な心の準備ができていなかった場合、一生苦労しながら暮らしたり、離婚に至ったりすることも少なくありません。
最近では結婚前から同棲を始める人も多くなりました。
人生観によっては、結婚後も別のパートナーと親密な関係を続ける人もいます。
離婚率が日増しに高まり、再婚する人も増えました。
結婚という形をとらずに、ごく身近な友だち兼、恋人として過ごすカップルもいます。
また、出産しても子どもの父親を明かさず、ひとりで育てるシングルマザーもめずらしくありません。愛の形はさまざまです。
必ずしも恋人同士ではなくても、親密な関係を築くことは可能です。
その関係に満足しているならそれでいいのです。
親しい関係にはさまざまな形があります。
今後、「真実の愛」のような表現は消えていくかもしれません。
重要なのは、一緒に暮らしていれば、別々に暮らしてときどき会う関係よりも意味があるとか、仲が深まるというわけではないということです。
意味のある関係とは自分の役割を正しく知って、相手に配慮し、おたがいに責任を持って行動する間柄です。
結婚すれば得るものもありますが、もちろん失うものもあります。しかし、「結婚からは得るものしかない」という幻想を抱いている人は少なくありません。
愛し合って結婚したはずの2人が離婚に至るのは、現実と幻想の大きな差をうまく乗り越えられなかったせいです。
自己愛的な傾向が強い人はプライドが高く、結婚への期待と幻想が大きい反面、失望と挫折を乗り越える力が弱い傾向があります。
(本稿は、チョン・ドオン著 藤田麗子訳『こころの葛藤はすべて自分の味方だ。 「本当の自分」を見つけて癒すフロイトの教え』から一部抜粋・再構成したものです)
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『こころの葛藤はすべて自分の味方だ。』は、自分でも気づかなかった心の傷を見つけ、困難を乗り越えるためのノウハウがつまっています。ぜひチェックしてみてください。