「私はなぜこんなに生きづらいんだろう」「なぜあの人はあんなことを言うのだろう」。自分と他人の心について知りたいと思うことはないだろうか。そんな人におすすめなのが、2022年8月3日発売の『こころの葛藤はすべて私の味方だ。』だ。著者の精神科医のチョン・ドオン氏は精神科、神経科、睡眠医学の専門医として各種メディアで韓国の名医に選ばれている。本書は「心の勉強をしたい人が最初に読むべき本」「カウンセリングや癒しの効果がある」「ネガティブな自分まで受け入れられるようになる」などの感想が多数寄せられている。本書の原著である『フロイトの椅子』は韓国の人気女性アイドルグループ・少女時代のソヒョン氏も愛読しているベストセラー。ソヒョン氏は「難しすぎないので、いつもそばに置いて読みながら心をコントロールしています」と推薦の言葉を寄せている。自己啓発書では物足りなくなった読者に、自分と他人の本心を探り、心の傷を癒すヒントをくれる1冊。今回は日本版の刊行を記念して、本書から特別に一部抜粋・再構成して紹介する。
見えるものはすべてねたみの対象になる
私たちの社会には、ねたみや嫉妬が渦巻いています。
とくに、職場には対人関係の葛藤があふれかえっています。
学生時代よりも忙しい職場生活では、評判や昇進・昇給、ボーナスの金額、資格取得、人脈づくりなどをめぐって、ねたみが発生しやすくなります。
自分を差し置いて、他人がチャンスや厚遇をつかんだら、すべてねたみの対象になります。
職場がねたみの温床になるのはなぜでしょうか?
それは、お金を稼ぐために必死で働く場所だからです。
勉強さえがんばればいい学生生活や、楽しい趣味の時間とはちがって、はるかに強いストレスを感じます。
どんなときにねたみが生じやすい?
職場でねたみが生じやすいのは、同僚に差をつけられて自尊心が脅かされたときです。
その芽がひそかに萌え出たことに、本人も気づいていません。
自分が昇進を逃したときに同僚が出世したら、屈辱的な気分になります。
その人を祝福する気になれないばかりか、ねたましく思っている自分に気づいたら、自分の心の狭さにあきれて自己嫌悪に陥ります。
ねたみをポジティブに活用すれば成長につながりますが、これが悪意として定着すると他人を疲れさせ、やがては自分を傷つけます。
ねたみとの健全な向き合い方とは?
軽いねたみは正常な反応ですが、ふくらんでいくとネガティブな感情に飲み込まれます。
そうならないように、向き合い方を変えていかなければいけません。
ねたみの対象を「同一化」して、自分もそうなれるようにまねしながら学んでいくのです。
口でいうほど簡単ではありませんが、挑戦してみるのも悪くないでしょう。
また、ねたむことに本当に価値があるのかどうか、突きつめて考えてみてください。
ねたみ深い人は周囲に警戒され、距離を置かれてしまいます。
自分が誰かをねたんでいると気づいたら、すみやかに感情を手放したほうが得です。
結局は、どれだけ自分を認めて尊重できるかという自尊感情の問題なのです。
自尊感情を高められるように自己啓発に励むことが根本療法となります。
自分を他人と比べることがどうしてもやめられないときは、精神療法や精神分析を受けることをおすすめします。
自分を外的基準で批判するのではなく、内的基準を育てていく姿勢を治療によって身につける必要があるでしょう。
(本稿は、チョン・ドオン著 藤田麗子訳『こころの葛藤はすべて自分の味方だ。 「本当の自分」を見つけて癒すフロイトの教え』から一部抜粋・再構成したものです)
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『こころの葛藤はすべて自分の味方だ。』は、自分でも気づかなかった心の傷を見つけ、困難を乗り越えるためのノウハウがつまっています。ぜひチェックしてみてください。