最強学閥、慶應三田会の集金力は圧巻だ。愛塾心の強いOBらは巨額の寄付をも厭わないからだ。今回、ダイヤモンド編集部は個人名義での過去5年分の寄付金データを基に著名OBの寄付金額トップ50を作成した。10回超にわたり公開予定の特集『最強学閥「慶應三田会」 人脈・金・序列』の#4では、実名ランキングを公開する。2億円を寄付した大物経営者らが首位となったほか、製薬大手や証券大手の首脳が上位に入った。また、東京五輪・パラリンピックを巡る贈収賄事件で立件された人物の名も登場する。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)
コロナ対策の寄付金1カ月で2.6億円
「社中」思想が驚異の集金力の源泉に
未曽有の危機に社中一体で立ち向かうために、ご支援ご協力の輪を広げていただけますよう、心からお願い申し上げます――。
新型コロナウイルスが猛威を振るい、最初の緊急事態宣言の期間中だった2020年5月。当時慶應義塾塾長の長谷山彰氏は、三田会の総本山である「慶應連合三田会」会長の菅沼安嬉子氏と連名で、塾員に緊急支援を呼び掛けた。
最強学閥の集金力は即座に強烈に発揮されることになる。経済的理由で修学が困難になった学生や医療体制への支援を目的に、2億6000万円を超える寄付金がわずか1カ月ほどで集まったのだ。
慶應義塾の機関誌「三田評論」で当時の寄付金の状況を見ると、名門企業の首脳や各界の有力者の名義で、数百万円や1000万円以上の巨額の寄付金が相次いで寄せられていることが分かる。コロナ関連の寄付金は21年3月末時点で7億5000万円に上った。
慶應義塾の圧倒的な集金力の強さの背景にあるのが、創設者、福澤諭吉による「社中」という思想である。冒頭の緊急支援の呼び掛けにも盛り込まれ、OBの活発的な動きの柱となっている。
三田会には卒業年度や職域、地域、また体育会などの種類があり、それぞれが寄付活動に取り組んでいる。
例えば、年度三田会は、卒業二十五年や卒業五十年の記念寄付金として、毎年数千万円を寄付する。また、大学付属の中高などの同窓による寄付も頻繁だ。
コロナ禍の緊急支援では、不動産三田会や三菱商事三田会などの職域ごとの寄付も目立った。
一方、個人による巨額の寄付金も慶應義塾の運営を支えている。今回、ダイヤモンド編集部では直近5年間の寄付金データを基に、個人名義での高額寄付金の状況をまとめた。
次ページでは、著名OBによる寄付金額の上位50人の実名ランキングを紹介。寄付金額が1億円以上のOBが7人に上った。ランキングでは、2億円を寄付した大物経営者らが首位となったほか、製薬大手や証券大手の現役首脳も上位に入った。また、東京五輪・パラリンピックを巡る贈収賄事件で逮捕された「大物」による高額寄付も確認できる。