コロナ禍で経済環境が激変する中、電機・精密業界の明暗はくっきり分かれた。半導体需要の爆増を追い風に業績を伸ばす企業がある一方、事務機器やカメラなどの需要は減少。製品ごとのトレンドが浮き彫りとなった。円安を追い風に受けるものの、原材料高の負担も増している。特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』(全20回以上)の#19では、電機・精密業界の倒産危険度ランキングをお届けする。“危険水域”入りした20社の顔触れを見ていこう。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
電機・精密業界では半導体が好調も
苦戦した企業は?
2021年度の電機・精密業界は、半導体や電子部品が“主役”に躍り出た年だった。
新型コロナウイルス感染拡大の当初こそ、供給先企業の生産停滞が懸念されたものの、ふたを開けてみれば脱炭素やデジタル化の潮流が逆風をはねのけた。
EV(電気自動車)をはじめとする電動車化や先進運転支援システムによる電装化が拡大する自動車、爆増するデータ需要に応えるためのデータセンター投資、5G(第5世代移動通信規格)の設備や高性能スマートフォン……。社会構造の転換とともに、半導体や電子部品の需要は長期的な拡大が見込まれている。
そうしたことから、大手各社は軒並み好決算をたたき出した。
電子部品では、村田製作所やTDK、太陽誘電などが22年3月期において過去最高益を更新。また、日本勢が強みを持つ半導体製造装置メーカーにおいては、東京エレクトロンやSCREENホールディングス、アドバンテスト、ディスコなどが最高益を達成した。まさに、“わが世の春”である。
足元では、中国のコロナ禍によるロックダウンといった生産制約や原材料価格の高騰、半導体設備投資の減速といった不安材料も目立ってきたが、今後のデジタル化の進展は必至であり、長期的な業績の拡大に期待がかかるところだ。
一方で、裾野の広い電機・精密業界なだけに、そうした好調企業とは対照的に苦戦を強いられている企業も散見される。
ダイヤモンド編集部は今回、「電機・精密」業界の倒産危険度ランキングを作成した。すると、放送・通信機器を手掛ける企業や時計関連メーカー、医療機器メーカーなどがランクイン。20社に“黄信号”がともっていることが判明した。
なお、半導体・電子部品が主力企業については、特別に切り分けて、『倒産危険度ランキング2022【半導体・電子部品12社】6位ジャパンディスプレイ、1位は?』において、危険水域にある企業を詳述する予定だ。
早速、次のページでその顔触れをチェックしていこう。