ステルスリストラ#9Photo:Satoru Okada

かつて「追い出し部屋」問題で厳しい非難を浴びたリコー。今回は「ジョブ型」をうたい「成果を上げた社員に報いる」ことを強調するが、中高年を対象にした“より狡猾化したリストラ”との批判がある。特集『ステルスリストラ 気付けばあなたも』(全10回)の#9では、リコーの内部資料の矛盾点を検証し、「ジョブ型」がリストラや成果主義の方便として用いられるようになった経緯を探る。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

「キャリア研修」希望者はどんどん受講
日立、NTTも導入「ジョブ型」の正体は?

「自分のキャリアを見直してみませんか」――。事務機器大手リコーの社内ではここ1年、オンラインで自身のキャリアを顧みるよう社員に求める研修をオンラインで実施している。同様の研修は「これまでは一定の年齢に達した社員が対象だったが、今は希望者がどんどん受ける形だ」(あるリコー社員)。

 本特集#1『リコーが「管理職から転落」させる衝撃スキームを導入、新・人事制度の内部資料で判明』で指摘したように、同社が社内で説明した「リコー式ジョブ型人事制度」は、一見、実力のある若手を抜てきするなど前向きな仕組みであるとアピールしながら、その実態は、評価制度を駆使し、管理職を非管理職に引きずり下ろすことを可能にするものだと言わざるを得ない。

 もっとも「ジョブ型雇用」は、日立製作所や日本電信電話(NTT)、富士通やKDDI、ブリヂストンなど日本を代表する大企業が次々と導入を表明し、一種の流行のようになっている。だが、彼らの言う「ジョブ型」は、もはや本来の意味から懸け離れ、成果主義を復活させるための方便とさえいえるものだ。

 特に「ジョブ型人事制度」にわざわざ「リコー式」と枕ことばを冠したリコーは、ジョブ型をどのように捉えているのか。リコーの内部資料に基づいて、彼らの思惑を読み解いていこう。