選別開始!倒産危険度ランキング2022#28Photo:mfto/gettyimages

ITベンチャーのUnipos(ユニポス。旧Fringe81)が今春、赤字だったインターネット広告事業から撤退し、従業員同士で報酬を送り合うピアボーナスサービス「ユニポス」事業の単一業態となった。いまだ先行投資フェーズにあるユニポス事業だが、勝算はあるのか。特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』(全31回)の#28では、ワースト5位にランクインした同社の田中弦社長CEOに現状と打開策を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本 輝)

祖業の広告事業で出血を続けるよりも
ユニポス専業の方が企業価値は上がる

――今年3月、祖業のインターネット広告事業から撤退し、「ユニポス」事業の専業となりました。

 それまで広告事業は業界平均並みの売り上げ成長があって堅実な事業でしたが、コロナ禍で主要クライアントの広告費が急減したことで大きなダメージを受けました。

 一方で、新規事業であるユニポスも先行投資フェーズでまだ赤字ではあるが、売り上げは着実に伸びていたんですね。ユニポスのようなSaaSは、売り上げが(リカーリングによる)“積み上げ型”のビジネスなので、将来の売り上げの予測が立てやすい。解約率も低下傾向にあり、商談成立まで半年以上の時間がかかる大手企業などのパイプライン(見込み顧客)もみえていた。

 もちろん祖業なので苦しい決断でしたが、先行きの見通しづらい広告事業を続けて出血を続けるよりも、ユニポス専業になる方が最終的にはターンアラウンドした際に企業価値が上がると判断し、事業撤退を選択しました。

祖業の広告事業と決別し、ユニポス事業に懸ける田中弦社長CEO。次ページでは、名刺管理アプリ大手Sansanとの資本業務提携や将来の連結子会社入りなど、ユニポス事業の成長策を明かしてもらった。