選別開始!倒産危険度ランキング2022#24Photo:mfto/gettyimages

コロナ禍に伴う企業のデジタル化や巣ごもり需要は、情報・通信業界に大きな追い風となった。しかし、その波に乗り切れない企業もある。コロナ禍が落ち着き、巣ごもり需要も一服感が出てきた今、業界の格差がつき始めている。今回取り上げるのは情報・通信業界。17社が“危険水域”と判定された。特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』(全20回以上)の#24は、情報・通信業界の倒産危険度ランキングを詳報する。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

メタが業績悪化で1万1000人リストラ
「予想をはるかに下回る」ザッカーバーグ氏の釈明

「私は間違えた」――。

 米IT大手メタ(旧フェイスブック)は11月9日、業績悪化を受けて従業員の13%に当たる1万1000人を削減すると発表。マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は同日発表した声明文で、そう反省の弁をつづった

 情報・通信業界に追い風となった新型コロナウイルスの感染拡大。しかし、インフレや利上げにより、海外では一足早く景気減速が鮮明になりつつある。

 米グーグルの親会社アルファベットの2022年第3四半期(7~9月)の売上高は、前年同期比6%増の691億ドルと増収だったものの、最終利益は同26%減の139億ドルだった。

 またメタの22年第3四半期(7~9月)の売上高は、前年同期比4%減の277億ドルと減収に。最終利益は同52%減の44億ドルだった。

 デジタル化や巣ごもり需要の高まりで追い風が吹いていたが、ここにきて両社の広告事業の成長鈍化が目立つ。グーグルの広告収入全体は伸びたものの、新たな成長の柱として期待されていた動画配信サービス、ユーチューブの広告収入は同2%減で、決算資料で開示されるようになって初めて減収へと転じた。

 メタも広告収入が同4%減ったことに加えて、ザッカーバーグ氏が熱を上げるメタバース関連事業を手掛けるリアリティ・ラボは37億ドルの営業赤字に。22年の9カ月間で計94億ドルの営業損失を出している。

 リストラを発表した声明文で、ザッカーバーグ氏は、「コロナ禍で世界は急速にオンラインへと移行し、eコマースの急増で収益は大幅に増えた。パンデミックが終わった後も続く恒久的な加速になると予測し、投資を大きく増やしたものの、私の期待通りにいかなかった。eコマースは過去のトレンドに戻り、マクロ経済の低迷や競争激化、広告需要の消失で、収益が予想をはるかに下回っている」などと釈明した。

 米国と日本ではインフレなどの経済状況が違うとはいえ、これまで米国の潮流は日本にも遅れて波及してきた。景気減速待ったなしの23年は、これまで好調だった情報・通信業界にも逆風となるだろう。

 ダイヤモンド編集部が16業界別の倒産危険度を検証したところ、情報・通信業界では17社が“危険水域”と判定された。中にはこれまで高成長が期待されていた大物ベンチャーも名を連ねる。

 次ページでは、危険水域に入った17社の顔触れを見ていこう。