倒産を回避し、企業経営の一助になるのが補助金の活用だ。幸い、コロナ禍で手厚い補助金が用意されている。特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』(全20回以上)の#26では、事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金、事業承継・引継ぎ補助金の「5大補助金」に焦点を当て、獲得のための最新テクニックを伝授する。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
「ゼロゼロ融資」終了で補助金への相談が殺到中!
5大補助金を獲得するためにはどうすればいいのか
「新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ある支援先の企業が800万円の債務超過に陥ってしまった。しかし、事業再構築補助金を勝ち取って1000万円の支援を受け、200万円の資産超過に転じて窮地を脱することができた。この補助金は、一括で利益剰余金への計上が可能で、インパクトが非常にある」
飲食店向けに財務コンサルティングを行うビーワンフードの谷口太郎氏は、補助金が顧客の“特効薬“となった例を振り返り、安堵の表情を浮かべる。
実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の新規申し込みが終了し、返済が始まる企業も増えてきた。資金繰りに悩む企業の間で今、“頼みの綱”として補助金の活用を検討するケースが多くなっている。
城南信用金庫(東京)の川本恭治理事長によれば、事業者が困り事を話す同社のサービス「なんでも相談プラザ」で、補助金に関する相談の割合は2020年度はわずか7%だった。ところが22年度は51%と、約半分を占めるまで相談が殺到しているという。「『補助金を使いたいが、何を使ったらよいか分からない』という声も多い」と川本氏は事業者の悩みを解説する。
コロナ禍で苦しむ企業の支援策として、国は補助金を充実させている。特に今、活用できるのは事業再構築補助金、ものづくり補助金、事業承継・引継ぎ補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金の「5大補助金」だ。
11月8日に公表された22年度補正予算案でも、5大補助金の予算規模を足し合わせると約1兆円(国庫債務負担を含む)に及ぶ。岸田文雄政権が中小企業への支援策として、5大補助金に注力している様子が分かる。
ただし、中小企業の経営者が補助金を活用したいと考え、詳細を顧問税理士やメインバンクの担当者に尋ねても知らないケースは少なくない。「『専門業者を紹介する』と融資先に伝え、丸投げすることもある」(あるメガバンク行員)。
5大補助金はそれぞれ、支援を受けるための難易度や条件が異なる。どの補助金を選べばよいのか。どうすれば補助金を勝ち取ることができるのか。
次ページでは中小企業診断士や金融機関などへの取材を基に、5大補助金獲得の最新テクニックや難易度をお届けする。中小企業の経営者はぜひ参考にしてほしい。