コロナ禍からの苦境を脱し始めた化学業界。原油をはじめとする資源価格の高騰が各社の業績を後押しし、売上高を前期と比べて伸ばす企業が続出した。しかし、資源高を商品価格に転嫁できるかどうかの差も出始めている。特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』(全20回以上)の#18では、化学業界の倒産危険度ランキングをお届けする。20社が“危険水域”となり、総合化学メーカーの昭和電工もワースト3位にランクインした。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
原材料高騰分を価格転嫁できない中小化学メーカー
ライオンはポートフォリオチェンジに着手
「融資先の中小化学メーカーは、原材料価格が上昇しても大手の取引先に価格転嫁させてもらえない。利益が減り、資金繰りは逼迫している。ゼロゼロ融資も終了し、追加融資はできないので、耐えてもらうしかない」――。
あるメガバンクの行員は、取引先を“見殺し”にせざるを得ない苦悩をこう明かす。
ロシアのウクライナ侵攻による原材料高と加速する円安。化学業界は、工業製品向けから衣料品やプラスチックなどの日用品まで裾野が広く、影響は多岐にわたる。冒頭のように原材料高騰への対応に悩まされるのは中小メーカーだけでなく、大手も同様だ。
例えば日用品大手のライオンは、事業ポートフォリオの転換に取り掛かった。掬川正純社長は、原材料価格の影響を受けやすいのは、洗剤や柔軟剤、食器洗い洗剤などだと明かし、「(原材料費の構成比率が低い)医薬品やオーラル(口腔)ケアなどの分野にポートフォリオをシフトさせる」と意気込む。
原材料高という“荒波”に襲われる化学業界。ダイヤモンド編集部が化学関連業界の倒産危険度を検証したところ、20社が“危険水域”と判定された。3位には、総合化学大手の昭和電工がランクインした。化学業界の“倒産予備軍”はどの企業か。
次ページでは、中堅から大手、地方企業まで20社がランク入りした化学関連業界の倒産危険度ランキングを企業の実名と共にお届けする。