世界的な新型コロナウイルス感染拡大が企業のデジタル化を後押し。半導体需要が高まり、業界の垣根を越えた奪い合いを生んだ。自動車産業などは半導体不足による生産縮小を余儀なくされている。特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』(全20回以上)の#22では、半導体・電子部品業界の倒産危険度ランキングを取り上げる。12社がランクインし、倒産危険度ランキングの“上位常連”のジャパンディスプレイはワースト6位だった。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
2022年の半導体市場は6332億ドルに下方修正
大減益のインテルは最大100億ドルのコスト削減
好調だった半導体市場に減速の足音が近づいている。
世界半導体市場統計(WSTS)は8月、2022年の世界半導体市場は前年比13.9%増の6332億ドルになる見通しだと発表した。6月の時点で16.3%と予測していた成長率を2.4ポイント下方修正した形だ。
23年の半導体市場についても、成長率を5.1%から4.6%へと引き下げ、6624億ドルになる予想だ。新型コロナウイルス感染拡大に伴うテレワークの普及やデジタル化で、21年の半導体市場は26.2%の成長率だっただけに、成長鈍化が目立ち始めた。
半導体大手の米インテルの22年第3四半期(7~9月)の売上高は、前年同期比20%減の153億ドル。純利益は同85%減の10億ドルと大幅減となり、経営効率を高めるために23年に30億ドル、25年末までに80億~100億ドルのコスト削減を実施する方針を明らかにした。
一方、半導体受託製造世界最大手の台湾TSMCの22年第3四半期(7~9月)は、売上高が同47.9%増の202億ドル、純利益は同79.6%増の93億ドルだった。しかし、22年の設備投資額について、当初掲げた400億~440億ドルの予想を360億ドルへと下方修正。「直近の中期的な見通しを反映した」とシーシー・ウェイCFO(最高財務責任者)は説明した。
ただし、半導体需要に減速の兆しが見えてきたのは、パソコンやスマートフォンなどの最先端向けだ。旧世代の安定した製造ラインを使い、大幅な増産が見込めない半導体は、自動車など業界の垣根を越えた争奪戦が落ち着く様子はなく、逼迫した状態が続く。
バブルのような活況からブレーキがかかり始めた半導体業界。ダイヤモンド編集部が16業界別の倒産危険度を検証したところ、半導体・電子部品業界では12社が“危険水域”と判定された。
また倒産危険度ランキングの“上位常連”であるジャパンディスプレイ(JDI)はワースト6位だった。次ページではランクインした企業の顔触れを見ていこう。