新型コロナウイルスの感染拡大による打撃が長引く旅行業界。王者・JTBは国内約100店舗の閉鎖計画などのリストラを強いられている。それでも、リアル店舗はオンラインに比べて、「コスト高ではない」と山北栄二郎社長は訴える。特集『総予測2022』の本稿では、その真意を聞いた。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
関連会社削減、国内店舗閉鎖、人員削減…
構造改革の進捗は「順調」
――2021年は大規模な構造改革を迫られる1年となりました。国内関連会社は10社以上、国内115店舗、国内外の人員7200人などを削減する目標を掲げていましたが、進捗と手応えは。
計画を上回り、進捗は順調です。19年期首時点の人員規模は約2万9000人でしたが、現在は約2万人と、3分の2の規模になりました。
新型コロナウイルスの感染拡大で緊急的な人員圧縮が求められました。また、変化する顧客ニーズへ対応するためには、人員体制の組み替えが必要です。この先の回復期では、今回の人員削減はかなりの効果が出るという感触を持っています。また、社員の月給は3割カットしていましたが、22年4月からは通常の水準に戻す方針です。
国内店舗数は480から387まで減少しました。ですが、店舗ネットワークは適切に確保しています。何より大事なのは、店舗とオンラインの融合。顧客体験の向上に、全てのエネルギーを注いでいきます。そう考えたとき、店舗数は現在の水準が適正です。
――それでも、デジタルシフトを行うのであれば、まだ店舗数が多いとの指摘があります。
当然これからも、時代の流れに応じて店舗数を増減させます。ただし、大規模な店舗閉鎖はいったん終了。店舗の移転などを引き続き進めていきます。
もう一つ、私がお伝えしたいのは、リアル店舗はオンラインに比べて、根本的に「コスト高ではない」ということです。
――リアル店舗の方が賃料や人件費、光熱費など多額のコストがかかり、オンラインに比べてコスト高だと思いますが……。その理由はなぜでしょうか。