米国・ウォール街
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 ウォール街が静かだ。静か過ぎる。

 秋は通常、金融活動が最も活発化する時期の一つだが、ここ数週間、新規株式公開(IPO)や債券発行による資金調達、合併・買収(M&A)の動きがいずれも低水準に鈍化した。銀行家や投資家、企業法務関係者によると、こうした取引を支える資金の供給が枯渇しつつあり、鈍化は今後も続く可能性が大きいという。

 市場が失速しているのは、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制のために政策金利を引き上げ、借り入れコストが急騰しているためだ。個人消費はまだ落ち込んでいない。しかし、計10兆ドル(約1460兆円)を超える債務を抱えた米企業が打撃を受けている。こうした債務の多くは、FRBが金利をゼロ近辺に抑えていた過去10年間に積み上がった。

 フィッチ・レーティングスが格付け対象企業についてまとめたデータをウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が分析したところによると、北米の企業は、増加する金利費用を賄うため、2022~23年に最低でも2000億ドルを調達しなければならない。高インフレが続けば、借り入れコストは何年にもわたって高止まりする可能性があり、米企業は二つのグループに分かれることになるかもしれない。債務を削減し、自ら稼いだ利益で生き残ることができる企業と、そうでない企業だ。