モメた相続は次の代にも影響する

 さて、相続がモメにモメることのデメリットは、金銭的なものだけではありません。むしろ、最大のデメリットは、親同士の戦いを子どもたちに見せていることにあります。50代、60代の親たちが争っている姿を、20代、30代の子どもたちが見ています。そんな子どもたちに対して、「君たちは仲良くやれよ」といっても説得力があるでしょうか。まったくありません。

 下手をすると、次の世代、その次の世代の相続でも争うことで、モメやすい家系になってしまいます。もちろん、親たちを反面教師にして、自分たちはモメないようにしっかりやろうという人も数多くいます。いずれにしても、親は子どもたちの目をもっと気にすべきです。

 デメリットとして一番困るのは、法事や結婚式などの冠婚葬祭です。モメたきょうだいが法事で顔を合わせるのは気まずいもの。また、墓守をしていた人がお墓を引っ越したいときには、関係者の許可を取らなくてはいけませんが、そのときにも気まずい雰囲気になってしまいます。

 子どもの結婚式では、「あの家の子は呼んじゃダメよ」ということにもなります。いとこ同士は仲が良かったのに、親の都合で会えなくなるのは悲しいことです。きょうだいの不仲は相続後にも影響するのです。