中間選挙はどうしても与党(バイデン率いる民主党)に不利に働く。戦後行われた19回の中間選挙で、下院で与党が議席を増やしたのはわずか2回、上院でも5回しかない。

 その点で言えば、下院での敗北は織り込み済みだ。むしろ、上下両院ともに善戦した感が強い。

「来年初めに最終判断する。出馬の考えに変わりはないが、家族と相談して決める」

 バイデンは、開票状況を見ながらこのように語っている。

 ただ、バイデンは今月20日、80歳を迎える。鍵を握るのは家族の意見になる。

 筆者の知人で民主党のスタッフはこう指摘する。

「常にジョー(バイデン)に寄り添いアドバイスを送ってきたジル夫人の判断しだい」

2024年のアメリカ大統領選挙は
再びバイデンvsトランプ?

 もちろん、双方ともに難題を抱えている。

 まず、バイデンは人気のなさを露呈した。今後、高いインフレ率と雇用の悪化を改善できなければ、出馬はできたとしても予備選挙で敗れ、候補になれない可能性がある。

 また、下院の過半数の議席を共和党に奪われれば、下院議長が民主党のナンシー・ペロシ氏から共和党のケビン・マッカーシー氏に代わる。

 共和党はどちらかの院で過半数を取れば、民主党提出の法案を止めることができるようになるため、バイデンは、気候変動や銃規制、インフラ投資と言った看板政策の法制化が簡単にはできなくなる。

 逆に、共和党は、議会の調査権を握れるようになる。たとえば、民主党が進めてきたトランプ支持者らによる連邦議会襲撃事件の調査委員会は閉鎖し、バイデンの次男、ハンター氏による不正な税務処理疑惑の調査などを開始して、民主党を揺さぶることも可能になる。

 ただ、トランプにとっては、連邦議会襲撃事件を招いた問題に加え、機密文書を含む公文書の隠匿疑惑は拭い切れない。

 有権者から疑問視されてきた極端な言動も足かせとなるため、この先、前述したペンスやディサンティスへの支持が一気に高まりを見せる可能性もある。

 それでも、現時点では、2024年の大統領選挙は、バイデン対トランプになることが、民主・共和両党にとっては勝つための最善の選択になるだろう。他の誰も、知名度や集金力で及ばないからである。

 思い起こせば、筆者が初めてアメリカで選挙を取材したのは1992年の大統領選挙だ。