海外旅行ガイドブックの決定版『地球の歩き方』から、今回紹介する記事は「日本のすごい御神木」です。日本にはそれに会うこと自体が旅行の目的になる“凄い神木”が多数存在します。それはただ巨大なだけでなく、地元に住む人々の暮らしを見守り、尊敬を集め、訪れる人々に驚き、畏怖を与えてきました。この記事では発売中の地球の歩き方旅の図鑑シリーズ『日本の凄い神木』より著者がピックアップした神木をお届けします。(文&写真/本田 不二雄)

時代を超越した「大杉」の存在感 石徹白のスギ

 巨樹・御神木を追い求める人たちの間で究極の一本は何かという話題になれば、必ず登場する木でしょう。巨樹マニアにとって、一度は拝見してみたい憧れの存在です。しかし、出会うのは簡単ではありません。何しろそれは、秘境と呼ばれる岐阜県郡上市白鳥町石徹白からさらに山中に分け入った場所にあるのです。

 秘境の聖地・白山中居神社から林道を車で25分。白山登山口(石徹白口)から長い石段を登りつめると、見たことのないモノがあらわれます。もはや木というより巨大な壁のよう。凄まじい樹肌の風合いは、老齢を極め、時代を超越したものだけが醸し出すナニモノかでしょう。

 伝承によれば、聖地白山を開いた泰澄大師(687-767)が立てた杖が生長したものといいます。約1300年前のことです。ところが専門家によれば、1800年から2000年の樹齢を数えるとも。かつて聖なる白山を目指す美濃禅定道の二十八宿のひとつ「今清水」があったとされ、山伏行者らがここで大杉を拝してその神気に浴し、霊水をいただいて鋭気を養ったといわれています。

 独特の白い木肌は幹の枯死によるもので、ここに至るまでの気が遠くなるほどの時間を思わせます。そんな歴史の末端でこの木を見上げ、「大いなる生命」と出会う体験は、かけがえのない記憶として心に刻まれることでしょう。

データ/国指定特別天然記念物。推定樹齢1800年余り、幹周り13.5m、樹高21.5m
アドレス/岐阜県郡上市白鳥町石徹白 白山登山口(駐車場あり)

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離島の自然が生んだ異形の神スギ

全都道府県250柱の「ヌシ」を案内する新刊『日本の凄い神木』

「神仏探偵」を自称し、カミやホトケが坐す“場”を訪ねる旅の途中で、筆者の前に浮上してきたのは“木”そのものでした。それも、御神木と呼ばれる巨樹です。

 よくよく考えれば、それらは、その地域でもっとも齢を重ねてきた生き物であり、「大いなるいのち」そのものでした。
私はそれらを、畏敬の念をもって「ヌシ」と呼びたいと思います。

 これら巨樹・御神木との出会いは、数百年、数千年の歴史とつながる体験であり、自然や風土と結縁する体験であり、古より内なる記憶として伝えられてきた日本人の霊性を実感する体験でもあります。
もしかしたら、この「大いなるいのち」との出会いこそ、今この時代に生きるわれわれにもっとも求められていることかもしれない。そんなふうにも思うのです。

 この国の「物凄い」ヌシと、ぜひ出会っていただけたらと願います。

■地球の歩き方 旅の図鑑シリーズ W24『日本の凄い神木』
・URL:https://hon.gakken.jp/book/2080183300

※当記事は、2022年10月25日現在のものです

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※本記事は『地球の歩き方』からの転載記事です。

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