保険を中心に総合的に生活や事業を支援 障がい者アートやフラワーロスの活動も

――浜松の本社の他、静岡県内に8カ所、横浜や春日部など県外に4カ所の営業所。保険代理店としてはかなり大規模ですね。

髙安 1969年の立ち上げ当初は、私の父が営む浜松エリア中心の損害保険代理店だったのですが、方向性を同じくする他の代理店を徐々に統合することで、現在の規模にまで拡大しました。損害保険や生命保険、法人向け保険などを取り扱っていて、法人1600社、個人2万2000人のお客さまと取引があります。ただ、将来には危機感を抱いています。

――それはなぜですか?

髙安 インターネットで保険に加入する方が増えているからです。保険のご案内をするだけの代理店の存在意義は失われつつあります。また、弊社の収入は自動車保険の割合が多いのですが、今後、自動運転車が普及すれば、運転者よりもメーカーの責任が大きくなり、保険の単価は下がります。そうなれば代理店の手数料も下がるのは確実です。

 そこで現在は「保険販売を中心とした総合生活・事業支援業」をモットーに、お客さまが抱える「お困りごと」を地域密着で解決しようと取り組んでいます。

――具体的にはどんなことを?

保険を中心に総合的に生活や事業を支援 障がい者アートやフラワーロスの活動も代表取締役・髙安紀足氏。1972年生まれ。静岡大学大学院卒。94年に大東京火災海上保険(現・あいおいニッセイ同和損害保険)へ入社。96年に地元・浜松に戻り、トップへ入社。部長、専務職を経て2010年6月代表取締役に就任。

髙安 現在、力を入れているのは、企業の従業員の資産形成をお手伝いすること。具体的には、法人のお客さまに「はぐくみ基金(福祉はぐくみ企業年金基金)」の導入をご提案しています。2018年に設立された確定給付企業年金で、医療・保育や介護等の福祉業界などの従事者を下支えするために誕生しました。

――確定給付企業年金は他にもあると思いますが、はぐくみ基金の特徴は?

髙安 最大の特徴は、積立金を受け取るタイミングが比較的自由に選べることです。確定給付企業年金は、積み立てた年金を退職時に受け取るのが一般的ですが、はぐくみ基金の場合は、休職時や育児・介護休業時などでも、それまで積み立てた分を受け取ることが可能です。

 また70歳まで加入できたり、スマホアプリで積立金の状況を見られたりと、使い勝手がよいことも特徴です。従業員の資産形成につながるので、離職率の低下にもつながると支持されています。