――導入企業は順調に増えていますか?
髙安 はい。自社で既存のお客さまにご提案するだけでなく、遠州信用金庫さんや静清信用金庫さんとアライアンスを組み、新規のお客さまをご紹介いただいています。21年末からですが、既に何社も導入に至りました。
――他には、どのような生活・事業支援を行っているのでしょうか?
髙安 保険と畑違いなのですが、障がい者アートの支援を行っています。
きっかけは、障がいのあるアーティストと事業を展開するヘラルボニーという企業をテレビで見て、「自社でも障がい者アート作品を、封筒やクリアファイルなどで使いたい」と提携させていただいたことです。
さらにヘラルボニーさんの影響を受けて、「地元・浜松にも障がいのあるアーティストがいるはず。彼らを支援する活動ができないだろうか」と障がい者アートの展示会を企画したのです。こうした展示会は福祉施設で行われることが多いのですが、もっと多様な人に見てもらいたいと考え、大規模な商業施設で行うことを目指しました。
地元企業に協賛をお願いしたところ、遠州信金さんにご快諾いただき、事務局として入っていただけることになりました。これで信頼度が増したのか、現在までに有名企業を含む10社にご賛同いただけました。23年の4~5月に商業施設で開催することが決まり、現在はアーティストと作品を発掘するために福祉施設を回っています。
――保険代理店では珍しい活動ですね。
●株式会社トップ 事業内容/保険販売を中心とした総合生活・事業支援、従業員数/72人、売上高/27億円(2021年度)、所在地/静岡県浜松市中区小豆餅1-32-9、電話/053-439-0335、URL/top-insurance.co.jp
髙安 他にフラワーロスを防ぐ活動も行っています。浜松はガーベラの産地なのですが、きれいなのに販売できないB級品の多くが捨てられています。そこで生花店と提携し、三つの総合病院に無料でお配りしています。
――どちらも御社にとってビジネスにはならないのでは?
髙安 はい、ビジネスには直結しません。でも、障がい者アーティストに新たな収入源を生み出したり、きれいなのに廃棄される花を活用したりすれば、多くの方に喜んでいただけます。こうして困っている人を支援していれば、誰かが見てくれていて、回り回って本業に返ってくると思うのです。従業員も自分の会社を誇らしく感じてくれるでしょう。このような企業としての姿勢が、これからの保険代理店には問われると考えています。
(取材・文/杉山直隆、「しんきん経営情報」2022年12月号掲載、協力/遠州信用金庫)